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オンライン診療(遠隔診療)とは-医療者に向けてていねいに解説-

オンライン診療(遠隔診療)とは

2020年4月に緊急事態宣言が出され、日本におけるオンライン診療の導入が急速に進みました。

しかし、

「オンライン診療をまずは導入しないと乗り遅れるかな・・・」
「そもそもオンライン診療ってどんなルールなの?」
「どのような運用がいいのだろうか、治療の質や患者への負担、コスト面は?」

このような疑問を抱えている先生方が多いのではないでしょうか?

そこで当記事では、日々の診療に活かせるかの判断材料となるよう、オンライン診療の基礎的なことを解説しながら、メリット&デメリットを説明しますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。

オンライン診療とは?

医師が女性患者とオンライン診療をしている様子

まずはオンライン診療はどう定義されている診療なのか、確認しましょう。

オンライン診療とは、

“遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び 診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為。”(引用:厚生労働省 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」 p.5より)

このように定義されています。

つまり、

“患者と医師がスマートフォンやPCなどインターネットがつながるデバイスを通じてコミュニケーションをとり、患者への問診や客観的な情報を元に診察・診断を行い診断内容を伝達する、あるいはそれに応じた処方を行う”

ということになります。

オンライン診療の原則

オンライン診療を行うにあたって、厚労省が定めているルールを確認してきましょう。

患者がスマートフォンを使って医師とオンライン診療をする様子

初診でのオンライン診療はOK ?

初診からオンライン診療を行うことは、これまでは許可されていませんでした。しかし、令和2年4月2日に閣議決定した「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」にて、条件付きで初診からオンライン診療は可能になりました。

それではどのような条件がついているのでしょうか。

それは、担当医の責任のもとオンライン診療で診察が可能であると判断した場合です。また、麻薬・向精神薬の処方をしない場合に限るという条件もあるので注意しましょう。

いずれの手段にしても、過去の診療内容や健康診断結果などを参照できる状態が望ましいとされています。つまり、電話やビデオ通話を用いたコミュニケーションを取りながら当該患者さんのカルテやPHR(Personal Health Record)データの情報を見て診察を行うことがベストと言えるでしょう。

オンライン診療の対象疾患

患者情報のイメージ

全ての疾患についてオンライン診療が適応になるというわけではありません。

また、現在は時限措置により、担当医師がオンライン上での診察で十分に可能であると判断した場合、かつ患者が希望したケースでは一律、初診から対応可能といった状況です。

しかし下記の遵守事項があるので注意しましょう。

①麻薬・向精神薬を処方してはならない
②処方日数は7日分が上限(基礎疾患情報が把握できない場合)
③薬剤管理指導料「1」の対象となる薬剤の処方は禁止(基礎疾患情報が把握できない場合)

また、オンライン診療の実施状況については、所在地の都道府県に毎月報告を行うことが必要です。令和2年8月 26 日の「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の 時限的・特例的な取扱いに関する留意事項等について」に添付の様式を参考にしましょう。

オンライン診療を避けた方がいい場合はある?

時限措置により、オンライン診療を希望する患者には”担当医がオンライン診療で十分に患者の症状について診察が可能と判断した場合には患者の許可のもと、オンライン診療が可能”とされています。

つまりオンラインの診察は、患者さんの疾患を十分に行えないと考えられる場合では、避けるべきでしょう。

聴診器をもつ医者

具体的には、外科的処置が必要な場合はもちろんですが、聴診や触診が必要な内科的疾患についても十分な診察ができないため控えた方がよいです。

オンライン診療で算定できる診療報酬

通常の診療と、オンライン診療では診療報酬に差があります。

新型コロナの時限措置により、現在は初診・再診に対して下記の診療報酬を算定できます。

①初診の場合(診療所の場合)

電話・情報通信機器による初診料:214点

※初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方をする場合

(対面診療の初診料:288点)

②再診の場合(診療所の場合)

電話・情報通信機器による再診料:147(算定は月に1回まで)

こちらは、生活習慣病などの慢性疾患患者に対して、以前から対面診療において療養上の管理を行っていた場合に関する算定です。

また、生活習慣病などの慢性疾患についてはとして具体的に下記の指導料が該当します。

特定疾患療養管理料
小児科療養指導料
てんかん指導料
難病外来指導管理料
糖尿病透析予防指導管理料
地域包括診療料
認知症地域包括診療料
生活習慣病管理料

オンライン診療のメリット&デメリット

これまで定義や適応する状況について説明してきました。

興味はあるが、オンライン診療を導入した際の良い点と悪い点について、把握してから考えたい方もいっらしゃるかと思います。

そこで、オンライン診療のメリットとデメリットをご紹介します。

メリット

オンライン診療という新しい診療方式に対応することで、さまざまなメリットがあります。

患者の多様な診療ニーズに応えられ、治療中断の予防にも

会社員の男性患者とオンライン診療を行っている医師

働き盛り世代の患者さんは、仕事をしながら定期受診に訪れるのは難しい時期もあるでしょう。また、親として家事・育児をしながら通院をすることも大変だ、という患者さんも少なからず存在します。

患者さんのライフスタイルや疾患の状況に合わせて、オンライン診療を提供することは、それを希望する患者さんの期待に添えることにもなります。

そして診察を受けやすい環境づくりは、治療中断となるきっかけを減らすことにもつながるでしょう。

感染予防につながる

感染症予防のため、3密予防として混雑を避けることが病院でも望ましいとされています。

また、患者さんも感染に対する不安により通院を避けたいという場合もあるでしょう。そのような希望に対しても、オンライン診療は適しているといえます。

医師とオンライン診療をしながらメモをとる男性患者

遠隔地の患者の診察(遠隔診療)が可能に

厚労省からの通達では、オンライン診療を行う場合は患者の居住地と医療機関とが二次医療圏内に位置することであることが望ましいとされています。

しかし新型コロナに対する新しい生活様式では、リモートワークが進みました。居住地の変化にあわせて、かかりつけ医も変えなければいけないのは、患者さんにとっては負担が大きいでしょう。

遠く離れた場所に引っ越した患者さんへのオンライン診療も、可能になるといえます。しかしその場合は、不測の事態に備えて患者さんがすぐに受診・検査ができる最寄りの医療機関を調べておくことが大切です。

デメリット

オンライン診療には診療上のデメリットもあります。メリットとともに確認していきしょう。

通常診察とのスケジュール調整

混雑する待合室

例えばクリニックの場合、完全予約制であれば対面診療とオンラインどちらも時間の管理がしやすいので、オンライン診療の導入は比較的時間の都合がつきやすいです。

しかし、予約外での対面診察、急患対応も行うクリニックの場合は、対面での診察・治療と並行してオンライン診療を希望する患者さんへの診察をする時間を確保する必要があります。

このような状況では、対面診察で待っている患者さんの待ち時間を増やすことにもつながってしまうため、院内でどのようにオンライン診療と対面診療の時間を管理するか整備しておくことが必要でです。

状況によっては診療に限界がある

苦しそうな患者とオンライン診療をしている医師

例えば、定期通院している高血圧患者さんのオンライン診療中に、「最近調子が悪くて、、」と伝えられたとします。

オンライン上では、家庭血圧の数値を患者さんに共有してもらうことはできますが、血液検査をすぐに実施したり、聴診や問診を行うことはできません。体調が悪い原因を限られた情報で判別するのは危険ですし、そもそも情報が少ないので確定診断に至らないでしょう。

このように、オンライン診療当日に急に体調に変化があった場合などは、オンライン診療ではなく対面診療に切り替える必要があることを念頭におきましょう。

診療報酬が対面に比べ低い

先ほどもお伝えしましたが、対面診療の初診料が288点に対して、電話・情報通信機器による初診料は214点と、対面診療に比べ74点低いことがわかります。

確かにオンライン診療は対面診療に比べ、実施できることが限られているので当然の差といえます。

そこで、通院している患者さんのオンライン診療に対するニーズの大きさや、実際のオンライン診療に対する満足度、院内でオンライン診療に対応した場合の時間的、人的コストなど、総合的に物事を判断をしながら運用を行うのが良いです。

オンライン診療を導入する際の準備・やり方

それでは実際に「オンライン診療を導入しよう」と思ったら、まずは環境を整備して必要物品を用意したり申請を行いましょう。

オンライン診療と表示されているパソコンとスマートフォン

オンライン診療を導入する準備

導入に伴う準備として以下の4つのステップがあります。

STEP1:オンライン診療に必要な環境をを準備する
STEP2:必要に応じて、オンライン診療ツールを導入する
STEP3:厚生局に届出を行う
STEP4:オンライン診療開始のご案内を患者さんに行う

それでは詳しく一個づつ見ていきましょう。

STEP1:オンライン診療に必要な環境をを準備する

オンライン診療を行う上で、インターネット環境やインターネットを接続しビデオ通話を行う端末(PC,タブレットなど)の準備が必須です。

STEP2:必要に応じて、オンライン診療ツールを導入する

カルテを閲覧し、ビデオ通話ができ会計までが院内で行える環境さえあれば、オンライン診療を実施することできます。

しかし、既存の会計処理システムとの連携や、クレジットカードで即時会計ができるものを使い、円滑にオンライン診療を行いたい場合には、そのような支援サービスの導入をおすすめします。

期間限定で無料で導入できるオンライン診療サービスもあるので、機能や価格面でどのサービスを利用するか決めましょう。

STEP3:厚生局に届出を行う

事前に厚生局へ届出が必要です。

例として、関東信越厚生局:基本診療料の届出一覧の、「オンライン診療料」の項目をご参照ください。

STEP4:オンライン診療開始のご案内を患者さんに行う

オンライン診療が利用できるようになったことを、患者さんに周知しましょう。オンライン診療サービスが指定するアプリを、患者さんにダウンロードしてもらい医療機関と連携をすることでオンライン診療が開始できます。

使用するアプリのダウンロード方法や連携手順なども、興味のある患者さんへご案内すると良いでしょう。

患者さんとオンライン診療を実施する手順

環境の準備が整ったら、実際にオンライン診療を実施します。

下記のステップが基本的な流れです。

オンライン診療の手順

STEP1:実際の予約を受け付ける

オンライン診療を実施する時間帯をあらかじめ決めておきます。その中で患者さんが希望する時間を指定し、予約を確定します。

STEP2:診察予定時間前に、事前問診をお願いする

予定されているオンライン診療が開始する前に、Web上で事前問診をしておきましょう。予約時間の中で、聞きたい内容を確認するには時間がかかってしまいます。事前にチェックしておきたい情報はWeb問診で収集しておきましょう。

また、会計処理上、保険証情報の確認もオンライン診療の実施前に行っておくとスムーズです。

STEP3:オンライン診療予約時間にビデオ通話で診療を行う

オンライン診療を開始します。必ず最初に、該当する患者さんかどうか本人確認を行いましょう。

ビデオ通話をしながら、前回の通院から現在にかけての経過について話をするなど、患者さんと診察に必要な情報について聞き取れるようコミニュケーションをとりながら指導を行い、処方が必要な場合には処方に関する情報についても聞き取りや指導をしましょう。

STEP4:会計、処方

患者さんにはオンライン診療で用いたアプリ等で即時決済を行ってもらうか、次回の来院時に合算で請求をします。

※処方が必要で、患者さんが電話等による服薬指導等を希望した場合には、備考欄に「0410対応」と記載して、患者さんが希望する薬局に処方せんをFAX等で送付します。

その後精算手続きを行います。領収証・明細書をFAX、メール又は 郵送等で、無償で患者さんに渡すことがルールです。 

詳細は、厚労省が示す医療機関が電話やオンラインによる診療を行う場合の手順と留意事項で確認してください。

患者さんの支払いはどうする?

パソコンでカード決済を行う女性

患者さんへオンライン診療のお会計をしてもらう際には、銀行振り込み、クレジットカード・デビットカード決済、その他電子決済(LINE pay,PayPayなどのQRコード決済)で支払いが可能です。これらの電子決済に対応するオンライン診療サービスが多く普及しています。

決済方法については、導入を検討しているオンライン診療サービスのウェブサイトで確認をするとよいでしょう。

服薬指導もオンラインで実施できる?

パソコンをみながら電話をする薬剤師

患者がオンラインによる服薬指導を希望した場合には、”担当する薬局薬剤師が患者の情報、服薬状況の情報からオンラインによる服薬指導が可能と判断した場合にオンライン上での服薬指導が可能である”と、新型コロナの時限措置で決められています。

ただし、指導の中で注射や吸入など、薬の実施に伴う手技が難しい薬剤の指導を行う必要があるケースで、患者へ手技を伝えることがオンライン上では難しい場合には、対面での服薬指導に切り替える方が妥当でしょう。

まとめ

新型コロナの時限措置により、担当医がオンライン上の診療で十分診察ができると判断した場合には初診であれ再診であれ電話・ビデオ通話などによる診療が可能になっています。

しかし、少しでも診療に支障をきたすような患者の症状や状況の場合には対面指導を勧め、医療機関に直接受診してもらうことが患者さんへの適切な治療につながります。

慢性疾患の定期受診の場合には、患者さんの感染予防の対策の一つとしてオンライン診療を有効活用することが望ましいでしょう。

今後も新型コロナの動向によってオンライン診療に対する時限措置の内容、適応範囲などが変わる場合があります。

厚生労働省のオンライン診療に関するホームページを適宜確認しながら最新の情報を確認しておくと良いでしょう。

なお、オンライン診療はPHRと併用することで患者さんの家庭での測定結果や生活習慣の把握ができ、診療の効率化につながります。

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参考文献
・厚生労働省 オンライン診療に関するホームページ
新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(令和2年4月10日事務連絡)
新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いに関する留意事項等について(令和2年8月26日事務連絡)
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その20)


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