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【医師監修】2型糖尿病とは〜原因・症状や治療についてわかりやすく解説〜

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2型糖尿病とは〜原因・予防・治療のポイントを初心者向けに解説〜

当記事は、そのだ内科糖尿病・甲状腺クリニック 渋谷駅道玄坂院 院長 薗田 憲司先生にご監修いただきました。
執筆はライター  松原知香(管理栄養士)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

「あなたは2型糖尿病です。今後は通院しながら治療を行いましょう。」

突然このように言われたら、誰しも驚きますよね。なかには、いきなり「入院治療をしましょう」と言われる方もいらっしゃいます。

何が原因で2型糖尿病になってしまったのか、これからどんな治療をしていくのか、不安を抱えているのではないでしょうか。

今回は、2型糖尿病の病態や基本的な治療方法について、専門医がわかりやすく解説します。

2型糖尿病への不安や疑問を少しでも解決できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

2型糖尿病とは

原因と治療

2型糖尿病は、血糖値を下げるインスリンというホルモンが十分に効いていない、あるいは分泌量が少ないために、血糖値の高い状態が続いている病態を指します。

原因は「生活習慣」と「遺伝」

2型糖尿病の原因は大きく

・生活習慣の乱れ
・遺伝子的要因

の2つに分けられます。 

生活習慣は、肥満や食べすぎ、カロリーオーバー、運動不足、ストレスなどが糖尿病の原因に関わっていると言われています。

一方、遺伝的要素とは生まれ持っている要素のことで、家族に糖尿病の方がいる場合などは、遺伝的要因から糖尿病になりやすいと言えます。

2型糖尿病というと「自己管理不足が原因」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。

初期症状はあるの?

2型糖尿病はゆっくりと進行していく場合が多いため、発症しても初期は自覚症状がみられないことがほとんどです。

しかし、治療をせず血糖値が高い状態のまま長期間が経過すると、尿の回数や量が増える、やたらと喉が渇いて水をたくさん飲みたくなるなどの症状が出てきます。

【糖尿病が進行するとみられる症状】
🔲疲れやすい
🔲トイレの回数が増える
🔲のどが渇く
🔲食欲があるのに痩せる
🔲皮膚が乾燥してかゆい
🔲目がかすむ
🔲傷の治りが遅い
🔲風邪をひきやすくなる

怖いのは合併症

糖尿病の合併症についてまとめました 〜神経障害・網膜や腎臓へのリスクを解説〜

糖尿病により血糖値の高い状態が続くと、さまざまな合併症が生じます。その中でも、代表的な三大合併症が糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症です。

【糖尿病の三大合併症】 

糖尿病性神経症
神経や血管に異常が生じることで、手足のしびれや痛み、感覚の低下をきたす。進行すると足の小さなケガや水虫、靴ずれなどが起きても気づかず、放置して壊疽(とよばれる状態になり、足を切断する場合もある。
(※)壊疽とは、傷から細菌が侵入して組織が壊死すること

糖尿病性網膜症
眼に異常が生じ、小さな虫のようなものや煙のススが見えるようになったり、黒いカーテンがかかったように見えたりする症状が出てくる。進行してしまうと失明の原因になる。

糖尿病性腎症
血管に異常が生じることで腎臓に障害が起こること。進行すると腎臓が働かなくなる腎不全の状態となり、最終的には透析を行う場合もある。

糖尿病の合併症は他にもさまざまありますが、今回は主要な合併症を紹介させていただきました。

いずれにしても、糖尿病と合併症の早期発見、治療が必要となります。そのためには、医療機関で医師に適切な診察を受けることが必須です。

参考記事:【医師監修】糖尿病の合併症についてまとめました〜発症の順番や予防法も紹介〜

2型糖尿病の診断

2型糖尿病の診断は、まず以下の4つの基準より「糖尿病型」にあてはまるかどうかを判断します。

1.糖尿病の症状があり、随時血糖値が200mg/dl以上
2.OGTT(※)の2時間後血糖値が200mg/dl以上
3.空腹時血糖値が126mg/dl以上
4.HbA1cが6.5%以上

(※)OGTTではブドウ糖が含まれた飲料を飲み、飲んだ前後で血糖値がどれくらい変化するのか検査する

そして、検査数値をもとに下の表の手順で糖尿病の診断が行われます。なお、以下は一般的な診断基準であるため、正確な診断は医師によって行われます。

2型糖尿病の診断

※糖尿病診断ガイドライン2019年を参照

参考記事:【医師監修】糖尿病の検査や診断はどうやって受けるの?~わかりやすく解説~

治療のポイント

2型糖尿病の治療において、食事と運動はとても大事になってきます。

2型糖尿病と診断された方は、医療機関で必要な食事療法と運動療法を聞き、ご自身に合う方法を医師や看護師とも相談してみてくださいね。

そして、食事改善や運動をしても血糖値の改善が見られないときは薬物療法を行います。

食事を見直そう

糖尿病について

食事は糖尿病治療の一環です。

しかし、毎日バランスのとれた食事を作って食べることが大事なのはわかっていても、忙しくてついカップラーメンやファーストフードで済ませてしまう方は多いですよね。

まずは、かかりつけの主治医や管理栄養士とともに、普段の食生活を振り返るところからはじめましょう。

また、個人差はありますが取り組みやすい目標を立てます。

たとえば、丼ものやラーメンなど1品料理で食事を済ませることが多い方は、

「今日はサラダをおかずに追加してみよう」
 「昼食はごはんの量を少なめにしよう」

など、具体的に設定すると続けやすいですよ。

参考記事:糖尿病のコンビニ活用術〜選び方や組み合わせを管理栄養士が直伝〜

少しでもよいので運動を習慣化する

運動は、血糖値のコントロールに有効です。

1回ハードな運動を行うより、軽めの運動を習慣にした方が効果的で、なかでもウォーキングがよいとされています。

10分早起きして会社の駅まで一駅歩いてみる、天気のいい日は近所を散歩してみる…など最初はそれだけでも十分です。

ぜひ取り組みやすい方法を探してみてください。

参考記事:糖尿病に運動が良いのはなぜ?~効果や方法を知って血糖値を改善しよう~

食事と運動の見直しの次は薬物療法

食事と運動の見直しの次は薬物療法

食事と運動の見直しを行っても血糖値が安定しない…という方は薬物療法を行います。

薬物療法は、血糖値を下げる効果のある薬を使い、血糖値をコントロールしていく治療法で、薬は飲み薬もしくはインスリン注射です。

薬物療法を始める際は飲み薬を使い、それでも血糖管理が難しいとインスリン注射に以降するケースが多いです。しかし、薬の種類や量などは個人差があるので、具体的には主治医と相談しながら行います。

また、薬の効き方に個人差はありますが、低血糖にもなりやすくなるので、ブドウ糖を持ち歩くなど対応方法を知っておくと安心でしょう。

参考記事:インスリンとは〜糖尿病との関係・療法・注射の使い方を分かりやすく解説〜
参考記事:糖尿病の薬「DPP4阻害薬」とは 〜種類や副作用などシンプルに解説〜
参考記事:糖尿病の薬「SGLT2阻害薬」とは 〜種類・注意点・ダイエット効果を解説〜
参考記事:GLP-1受容体作動薬とは〜飲み薬・副作用についても解説〜

2型糖尿病が治るってホント?

以前まで「2型糖尿病は一度なったら治らない」と言われていましたが、最新の研究により、2型糖尿病の方の約100人に1人は寛解(※)することがわかったのです。
(※)ここでの寛解は、服薬がなくとも血糖値が正常なレベルで落ち着いている状態のことを指す。

とくに、以下の特徴がある方において「寛解」になるケースが多くみられました。

・2型糖尿病の罹患歴が短い方
・HbA1cが低い方(=長期の血糖管理が安定している方)
・BMIが高い方
・体重の減少幅が大きい方
・服薬による血糖管理を行っていない方

また、減少した体重を維持し続けることも2型糖尿病の寛解にとって非常に重要です。

先ほども触れた食事の改善や運動習慣をつけることは、血糖値や体重のキープには欠かせません。

仮に薬を使わずに血糖管理ができるようになっても、食事や運動など生活習慣の乱れには注意しましょう。

なお、寛解については2型糖尿病の方のみにあてはまる話です。1型糖尿病や妊娠糖尿病は病態が異なります。詳しく知りたい方は、以下のリンクからご覧ください。

1型糖尿病についてはこちら
【医師監修】1 型糖尿病とは〜原因・症状から治療と生 活の注意点をわかりやすく解説〜

妊娠糖尿病についてはこちら
【医師監修】妊娠糖尿病とは〜原因・治療・食事までシ ンプルに解説〜

まとめ

では、今回の内容をまとめます。

・2型糖尿病は元々の遺伝に加えて、生活習慣の悪化が加わって発症するもの
・発症しても最初は自覚症状はみられない
・代表的な三大合併症は糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症
・1型糖尿病との大きな違いは生活習慣が原因となっているかどうか
・治療は食事改善や運動習慣をつける、服薬によって行う
・2型糖尿病の場合、服薬をせずに安定した血糖管理が可能な状態になるという最新の研究報告もある

当記事を読むことで、「悪化しないように食事や運動を見直そう」と少しでも思っていただけたら嬉しいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や食事の記録がカンタンにできます。日々の血糖コントロールにてぜひ活用してみてくださいね。

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監修医師

そのだ内科糖尿病・甲状腺クリニック 渋谷駅道玄坂院 院長 
薗田 憲司先生

薗田先生

【HP】https://www.kettou-ojisan.com/
詳細のプロフィールはこちら

参考文献
医療情報科学研究所編(2019):病気がみえるvol.3 糖尿病・代謝・内分泌,5(1),株式 会社メディックメディア,東京,22-23,76-91
一般社団法人日本糖尿病学会(2019):糖尿病診断の指針,糖尿病診療ガイドライン2019,株式会社南江堂,東京,31,61-62.

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