とうもろこしの栄養成分と効能~ダイエット中の注意点もポイント解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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やさしい甘さで人気のとうもろこし。
とうもろこしの旬は7月~10月ですが、冷凍や缶詰のものが多く出回っているので、年中楽しめますよね。そんなとうもろこしは、炭水化物をはじめ、たんぱく質、リン、ビタミンB群が豊富です。
しかしながら、とうもろこしの甘さからお気づきのように、糖質も多い食材です。
そこで今回は、とうもろこしの栄養素について解説いたします。
調理による栄養素の変化や、とうもろこしを使った美味しいレシピもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
目次
とうもろこしの栄養素と効能
とうもろこしに含まれる主な栄養素には、炭水化物、タンパク質、リン、ビタミンB群があります。それぞれの働きや効能をみていきましょう。
炭水化物
とうもろこしは炭水化物が豊富な野菜です。炭水化物と聞くと糖質をイメージされることが多いですが、実際は、糖質と食物繊維を合わせたものをさします。
生のとうもろこし100g(1/3~1/4本)に含まれる糖質は12.5g、食物繊維は3.0gです。
参考までにご飯100gの糖質は38.1g、食物繊維は1.5gです。つまり、とうもろこしの糖質はご飯の半分以下であり、食物繊維はちょうど2倍含まれます。
このように、主食と比較するととうもろこしの糖質は少なめですが、同じ野菜で比較してみると、キャベツ100gの糖質は3.5g、食物繊維は1.8gですので、とうもろこしは野菜としてみると糖質が高めといえます。
なお、糖質は脳や身体を動かすエネルギー源として大切な栄養素です。一方で糖質を摂りすぎると、余分な糖質は中性脂肪として蓄えられ、肥満の原因となりますので注意しましょう。
また食物繊維は便通を促すほか、コレステロールを吸着して体の外に排出させる働きがあるため、血中のコレステロール値を低下させることが期待されます。
たんぱく質
とうもろこしは、意外にもたんぱく質が多く、100gあたり3.6g含まれています。ご飯100gに含まれるタンパク質は2.5gですので、ご飯より多くなります。
たんぱく質は、筋肉をはじめ、髪の毛や皮膚の構成成分となるほか、酵素やホルモンとして私たちが生きていくために欠かせない栄養素です。
リン
とうもろこしは、リンも多く含まれており、100gあたり100mg含まれています。リンは体にとって必要なミネラルの一つであり、骨や歯の構成成分となるほか、細胞の膜やエネルギーを作り出す栄養素です。
そんなリンですが、インスタント食品や加工食品などに含まれる食品添加物にも多い栄養素ですので、つい摂りすぎてしまうことがあるかもしれません。
リンの摂りすぎは、カルシウムの吸収を阻害してしまいますので、食品添加物には注意したいですね。
ビタミンB
とうもろこしには、ビタミンB群のうち、特にビタミンB1とB2 が多く含まれています。ビタミンB1はとうもろこし100gあたり0.15mg含まれています。糖質をエネルギーに変えるときにビタミンB1が必要です。
一方ビタミンB2は、とうもろこし100gあたり0.10mg含まれており、エネルギーを作り出すときにはたらくビタミンです。またビタミンB2は、皮膚や髪、粘膜の健康維持にも必要となります。
参考記事:とうもろこしのカロリー&糖質は高い?ダイエットに良いか栄養の観点からも解説
生と茹でとうもろこしの栄養に違いはあるのか
では、生と茹でとうもろこしの栄養素量に違いがあるのか、みていきましょう。
上記の通り、生と茹でとうもろこしの栄養素には大きな違いがありません。つまりとうもろこしを茹でることで、大きく栄養素が損失されることはないといえます。
電子レンジ調理はどう?
実は、とうもろこしは電子レンジを使って加熱することもできます。茹でと電子レンジ調理で、栄養素量が異なるのかみてみましょう。
上記の表にあるよう、茹で調理と比較して、電子レンジの方が栄養素量が多く見えますが、これは、電子レンジの方が水分が減り、100gあたりのとうもろこし自体の重量が増えるからです。
電子レンジを使ってとうもろこしを加熱すると、水っぽくならず甘味が増すので、ぜひ活用してみましょう。
缶詰や冷凍のコーンは栄養がない?
とうもろこしの旬の時期以外や、調理などで少量だけとうもろこしを使うときは、缶詰や冷凍のコーンが便利ですね。
缶詰や冷凍のコーンには栄養素が含まれているのか気になるところかと思いますので、生のとうもろこしと比較してみましょう。
上記の通り、缶詰や冷凍になると、糖質や食物繊維の量はあまり変わりませんが、たんぱく質やリン、ビタミンB1、B2の量が減少することがわかります。
そのため缶詰や冷凍のとうもろこしを活用するときは、たんぱく質やビタミンB1、B2を他の食材で補うようにしましょう。
<一言メモ>
参考までに、豚肉を組み合わせると栄養バランスが整いやすくなります。
ヤングコーンはどうか
では、とうもろこしと、中華料理などでおなじみの3~4cmほどのコーン、いわゆるヤングコーンの栄養素を比較していきましょう。
上記の通り、ヤングコーンはとうもろこしと比較して、糖質やたんぱく質、リンが少ないといえます。ですのでとうもろこしの糖質が気になるときは、甘味は控えめになりますがヤングコーンを活用するといいですね。
参考記事:ポップコーンのカロリーと糖質は多め〜ダイエット中は食べ過ぎに注意〜
ダイエット中にとうもろこしを1本食べてもOK?
ダイエット中にとうもろこしを1本食べると、すぐに太ってしまうわけではありませんが、ほかの食材との組み合わせを意識しましょう。
お伝えした通り、とうもろこしはやや糖質が多いので、食べすぎると余った糖が中性脂肪として蓄えられてしまいます。
そのためダイエット中にとうもろこしを食べるときは、1日に1本程度とし、その分ご飯やパンをいつもの半分量ほどに控えましょう。
食べるタイミングにも注意
とうもろこしは糖質が多いので、1本食べるときは血糖値がすぐに上がらないように、野菜を先に食べるとよいです。
野菜に豊富に含まれる食物繊維には、血糖値の急な上昇を抑えるはたらきがあります。血糖値が緩やかに上昇すると、余分な糖を中性脂肪として蓄えるインスリンと呼ばれるホルモンの分泌量を抑えられるのです。
そのため、とうもろこしを食べる前には、野菜(ブロッコリーなど)、海藻のサラダ、そしてスープなどを先に食べることをオススメします。
糖質制限中は食べないほうが良いのか
量を調節すると、糖質制限中もとうもろこしを食べられます。
糖質制限中は、1食あたりの糖質量は40g以下が目安です。参考までにとうもろこし1/2本(約150g)と、ご飯50gで糖質量はおおよそ40g、つまり1食分になります。
1食あたりの糖質量の範囲内になるように、とうもろこしの量とその他の糖質が多い食品の量を調節しましょう。
トウモロコシを使った簡単で美味しいレシピをご紹介
では、とうもろこしを使った簡単なレシピをご紹介します。
茹でたものを丸かじりすることが多いとうもろこしは、炒めると甘さと香ばしさが楽しめます。
使用するとうもろこしは、生、冷凍、缶詰、どれでも構いませんが、旬の時期はぜひ生のものをぜひ使ってみてくださいね。シャキッとした食感が楽しめます。
タンパク質の多いエビと、ビタミン類が豊富なチンゲン菜を合わせた、1皿で栄養素のバランスが整ったレシピです。
【とうもろこしとえびの中華炒め】
・とうもろこし 1/2本
(冷凍・缶詰の場合は140g)
・冷凍エビ 160g
・チンゲン菜 1束
・しょうが 15g
・にんにく 1片分
・片栗粉 大さじ1/2
・ごま油 大さじ1
・酒 大さじ3
・しょうゆ 大さじ1
・塩 少々
・黒コショウ 少々
【作り方】
①生のとうもろこしを使う場合は、皮つきのままラップに包み、600Wの電子レンジで2分加熱する。半分ほど火が通り、粗熱が取れたらラップを外す。皮とひげを取り除いて、包丁で削ぐように実を取る。冷凍の場合はそのまま使い、缶詰の場合は汁気を切っておく。
②冷凍エビは解凍し、分量外の酒と塩少々をもみ込み、水洗いしてからペーパータオルで水気を拭く。片栗粉を全体にまぶす。
③チンゲン菜は長さ3~4cmのざく切り、しょうが・にんにくはみじん切りにする。
④フライパンにごま油としょうが・にんにくを入れて中火にかける。香りが出てきたら、エビを入れてサッと炒め、強火にしてからチンゲン菜の茎の部分と、とうもろこしを加えて炒め、酒と塩を加える。
⑤チンゲン菜の葉の部分を加えて炒め、しんなりしたら、フライパンの周りからしょうゆを回し入れて全体を混ぜる。仕上げにあらびき黒コショウを振る。
まとめ
以上、とうもろこしの栄養について解説しました。
とうもろこしは、糖質や食物繊維といった炭水化物が豊富な野菜です。ほかにも、たんぱく質やリン、ビタミンB1、B2 といった私たちの身体でさまざまな働きをする栄養素が多く含まれています。
一方で、とうもろこしは糖質が多いので、ダイエットや糖質制限中に食べるときは、ご飯やパンの量を控えて、糖質の摂りすぎにならないようにしましょう。ご紹介しましたとうもろこしとエビの中華炒めのレシピも活用してみてくださいね。
それでは当記事が参考となり、適量のとうもろこしを楽しんでいただければ幸いです。
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参考文献
JAにいがた南浦 とうもろこし
食品成分データベース
健康長寿ネット