INTERVIEW導入事例

PHRは患者さんや家族の安全、医師にとっての安心につながる

あそか病院
糖尿病内科 玉澤敦子先生

2020.09.23

あそか病院は、東京都江東区住吉駅近くに位置し、254床の入院病床を有する総合病院です。地域とともに歩み、地域から信頼される病院として、より高度で、より心あたたかな医療を追求されています。

今回は、シンクヘルスプラットフォームを用いて糖尿病患者さんの診療を行っている、糖尿病専門医の玉澤敦子先生にお話を伺いました。

玉澤先生は、シンクヘルスプラットフォームと併用して、院内で血糖測定器の読み取りを行うことができる医療機関専用アプリ「シンクポイント」 も導入いただいています。

新型コロナの影響下においても、PHRをリアルタイムで閲覧できるシンクヘルス は有用

以前から、担当患者さんにはシンクヘルスを導入し、日常での血糖や血圧の数値など、PHR(Personai Health Record)を把握するため、日々の診療の場で活用してきました。

昨今、新型コロナの影響により、患者さんの受診間隔が長くなる傾向にあります。本来であれば、インスリンを新たに導入する患者さんの場合には1〜2週間後に、また血糖コントロールが急激に悪化した場合には2~3週間後にと、比較的短期間で再受診頂いていた方も1ヶ月後になるなど、長めに予定せざるを得ない状況です。

このような時に、直接診察できずともシンクヘルスのプラットフォームを利用すると、リアルタイムにSMBG(血糖自己測定)のデータを閲覧することが可能です。インスリン量の変更の必要性があると判断した際は、シンクヘルス内のパートナー機能を活用して、私からメッセージ送信という形で、その内容を患者さんへ伝達することができます。

また高血糖のため、本来なら入院が望ましいと考えられる患者さんでも、現状では入院に踏み切れない方もおられます。入院で行うような高血糖に対し初期のインスリンの導入を外来診療で行うわけですから、遠隔で患者さんのフォローアップが可能になるのは、患者さんと医療者側双方が安心につながるという点で、シンクヘルスのメリットを感じています。

アプリをご案内する際、患者さんはスムーズに利用できていますか?

最近はスマートフォンを所有する方も多く、スマートフォンを持っている方であれば、簡単に利用可能です。

外来の待ち時間にアプリの紹介リーフレットをお渡しすることで、多くの方がその場でQRコードを読み取り、ダウンロードが可能です。

現在、インスリンの導入開始直後の、こまめな血糖調整が必要とされる時期に、頻回通院や教育入院ができない患者さんがいらっしゃいます。そういった患者さんにはインスリンやSMBGの手技を指導すると同時に、シンクヘルスアプリをダウンロードしてもらい、初期から利用していただくよう提案しているところです。

当院は都市部に位置しており、働き盛りの会社員の方も多く、初診時に尿ケトン陽性で、インスリン外来導入、次に1週間後に受診してほしいと考えても、実際には通院時間を確保できない患者さんも比較的多くみられます。多忙の方に初診時からシンクヘルスのアプリをご案内すると、ほとんどの方がアプリもしっかりと利用できています。

さらに、シンクヘルスアプリは、血糖測定器のアキュチェック ガイド(ロシュDCジャパン株式会社)とBluetoothでデータの同期が可能ですので、手入力を省けるという点も好評です。

血糖値だけでなく、血圧や体重管理にもアプリを活用

シンクヘルスアプリは、血糖値はもとより血圧や体重の値も入力もできますので、糖尿病ばかりでなく、様々な疾患の患者さんにも好評です。例えば高血圧や肥満症の患者さんで自己管理を希望される方がいらっしゃいます。

そのような患者さんに【自己管理や診察時に役立つ】ことを説明しますと、血圧や体重の記録をすることを主な目的として積極的に利用されています。

また、アプリで数値を記録をすることにが習慣になってくると、数値の入力だけでなく、結果を振り返ることにも活用できます。例えば「分析」の画面。この画面では入力した測定結果の平均値データが表示されるので、日々の健康状態を管理するのに役立ちます。

診察時にはプラットフォームに表示されているデータを一緒に見ながら、数値の解説や新しい薬剤追加の理由の説明やアドバイスをしています。

ある患者さんの場合、アプリで体重の入力を楽しみながら行っていらっしゃいます。測定値の変化が一目でわかりやすく表示されるので、励みになるそうです。

アプリがなかった時には、自分でデータをエクセルに入力し表にされる方もいらっしゃいましたが、アプリを使えば、手間をかけずともきれいな表として閲覧できるので、患者さんの負担も軽減できます。

アプリを使い慣れている若年層〜中年層の世代からすれば、日々の測定値がきちんとした形で保存され、それをすぐに確認できるという”続けやすい手軽さ”が自己管理の励みに繋がるのではないでしょうか。

アプリを利用できないご高齢の患者さんにもペーパーレスのデータ管理ができる

スマートフォンを持っていない方や高齢の患者さんには、医療機関専用のアプリ「シンクポイント」とプラットフォームを活用して、自己血糖測定器のデータをクラウド上で管理することもできます。

高齢の患者さんの中には、SMBGの手技だけでなく、その数値をノートにきれいに、正しく記載することが難しい方もいらっしゃいます。一生懸命、記載された記録ノートの内容ですが、限られた診察時間の中で必要な数値を把握するのに大変時間がかかってしまうことになります。

また、高齢で新しい機器の手技を覚えるのに時間を要するような方には、当院ではメディセーフフィット(テルモ株式会社)という自己血糖測定器を選択することが多いです。この測定器は「シンクポイント」を使って血糖値データを移行することができ、その結果を診察時に活用しています。

シンクポイントをダウンロードしているスマートフォンを使って、院内のスタッフが診察前に血糖測定器からデータを同期すると、データはクラウドに上がるので、すぐに診察室のパソコンで確認、データを印刷します。おかげで、診察時には速やかにきれいで正確な血糖値の一覧を閲覧することができるようになりました。

さらに、低血糖の把握もしやすくなりました。高齢の患者さんの場合、どこで低血糖を起こしたのか?という情報を、聞き取りだけでは判断しにくく、紙の記録から探すとなると、時間がかかってしまうこともありました。しかしプラットフォームの「表」だと、低血糖値は色がついておりすぐに確認ができるので、効率化が進み、非常に楽になりました。

教育入院での活用方法は?

教育入院の場合にも、入院中に患者さんへシンクヘルスをご紹介しています。その際は患者さんへ「自己管理の一環として、測定値をアプリで記録しましょう。データは病院と共有され、受診時以外の時間でも私たちも数値を確認できるんですよ。」とご案内しています。

入院中に、自身でアプリを用いて記録している場合がほとんどで、記録の方法などで困る場合は随時、説明しながらご案内します。「自己管理も、このアプリで一緒にしましょうね」と伝えると、血圧や体重の値も記入しています。

糖尿病は、「自分から行動する」という意識づけが大切です。しかし入院中は、看護師が近くにいて血圧を測定したり、血糖値を聞いたりと、まだまだ他人任せになりがちな環境です。退院後には自分で全てを管理しなければいけない訳で、退院した途端にいい加減になってしまうという方もいました。

しかし、入院当初からアプリを活用すると、「自分で記録をつけるんだ」という自己管理意欲がわき、退院後の行動に良い影響があるのではないかと考えます。

介護している家族ともつながることができる

外来に高齢糖尿病で認知症の患者さんがおられます。患者さんは、自己血糖測定の手技は習得可能だったため、測定はご本人が行います。しかし血糖値の記録を忘れずにきちんとすることが難しいため、お嬢さんがお父さんの代わりにご自分のスマホを使い、Bluetoothでアプリにデータの同期を行うようにしました。

診察には働き盛りのお嬢さんは同席できないことが多く、普段は患者さんお独りで受診されますが、治療内容の変更や注意点などをご家族にもお伝えしたい場合もあります。そこでアプリを使って、お嬢さんに「2単位増量してください」という内容をメッセージで送ります。こういった環境にある患者さんの外来治療をする上でも、シンクヘルスはとても役立っています。

ちなみにこの患者さんは、初診時HbA1c 10%程度だったのですが、最初はインスリン注射を、後にビクトーザ(ノボ ノルディスク ファーマ株式会社)を、出勤前のお嬢さんに打ってもらうといった工夫をし、結果的にHbA1c 6%台に改善していきました。

インスリンを導入している場合、患者さん本人が十分に理解し、実際にインスリンの減量がきちんとできているのか、アプリを利用する前は確認しようがない状況でした。シンクヘルスを導入することで、リアルタイムに数値の把握ができ、安心することができました。

つまり、ご家族が受診には付き添えないような働き盛りの世代でありながら、患者さんの介護をしているというご家庭への解決策として、より活用できるのではないかと考えます。

今後の展望は?

新型コロナの影響で、当院でもオンライン診療を導入する準備をしています。

リモート面談をすることで、オンライン診療の定義上は問題ありませんが、糖尿病の場合は、顔を見ただけでは患者さんの状況は把握できず、数値など客観的な情報が必要です。シンクヘルスアプリを活用すると、顔を見ながら数値も確認することが可能となり、質の高いオンライン診療を確保できると考えています。

そしてある一定期間に採血だけでの来院をして詳細な検査結果を、さらにシンクヘルスで日常の血糖値のデータといった客観的な情報を十分に得た上で、オンラインでの診察を行えるよう整備をしていきたいと考えます。

オンライン診療を行う場合に、PHR、例えばシンクヘルスのような病院とつながる自己管理アプリは非常に有用となるわけです。

しかしながら現状では、オンライン診療の診療報酬が対面診療と同等ではないことは、病院経営上課題になる点と思います。一方、2020年4月より栄養指導についてはオンライン栄養指導で加算(外来栄養食事指導料)が取れるようになりました。シンクヘルスの食事の閲覧画面を活用し、栄養指導面での活用もしていきたいと考えています。

さらに、患者さんに集まっていただく形の糖尿病教室の代わりに、シンクヘルスを使って情報を発信していくことも検討中です。

新型コロナの影響前には、外来患者さん、他科入院を含めて糖尿病を持っている入院患者さん、そして糖尿病に興味のある方やご家族に向けて糖尿病教室を計画しておりましたが、現在は中止しております。しばらくは大勢が集まるような場は避けたいところですので、シンクヘルスを利用している患者さんへ、メッセージ機能を使って、糖尿病に関する情報を動画も含め配信したいと考えている途中です。

”ウィズコロナ”の時代こそ、シンクヘルスの機能は大変役立つものと思います。

最後にシンクヘルスを導入してみて、いかがでしたか?

シンクヘルスを利用していなかった時は、外来でインスリン導入をした方を待つ間、患者さんの低血糖や血糖の改善程度を気にかけ、不安な気持ちを持つこともありました。

しかし、シンクヘルスを導入してからは、リアルタイムで状況が確認できるようになり、患者さんの安全と、医療者の安心につながったと思います。

なので、ぜひこれからも継続してシンクヘルス を活用したいと考えています。

施設紹介

あそか病院
〒135-0002 東京都江東区住吉1丁目18−1
ウェブサイト:https://hp.asokakai.or.jp

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