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PHR(パーソナルヘルスレコード)とは?活用方法を初心者に向けてシンプルに解説

  • 公開日:2021.02.09
  • 更新日:2020.02.10
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最近、学会などでPHRという言葉を耳にされることがよくありませんか?

Personal Health Record、略してPHRと呼ばれています。

オンライン診療という言葉とともに注目度が高まっているPHR。

『言葉は聞くけど、いまいちよくわからない』

というのが本音ではないでしょうか。

そこで当記事では、PHRに関する基本、そしてメリット&注意点を中心に解説をしていきます。

実際のPHRの活用方法と導入の具体的効果も盛り込んでいますので、興味のある方はぜひ医療の現場で参考にしてみてください。

個々の健康をカンタンにWeb上で管理〜PHRとは?~

PHR(Personal Health Record)とは、個々人が自身の医療に関わる情報や健康に関するデータを記録し、それを自身の手元で管理するしくみです。

元々、日本では「母子健康手帳」で生まれてくる赤ちゃんの情報について、手帳の中で一元的に記録をつけている文化がありました。これもある意味、PHRと言えるでしょう。

しかし現在、PHRが意味するものはデジタルを活用した管理です。

そこで、これまで個人が受けてきたさまざまな医療機関での治療履歴、診療履歴や日常的な測定値、さらには検診データなどを統合的に管理し、健康管理・増進に役立てていこうという動きが政府主導で急速に進んでいます。

PHRの市場規模は?

PHRを含む、日本のデジタルヘルスケアサービスの市場規模は、2020年度の時点で869億円となっています。さらに2025年には、2254億円と見込まれています。

今後、PHRを中心にさまざまなデジタルヘルスのサービスが急成長し、臨床での本利用が進んでいくことでしょう。

PHR先進国・アメリカの動向

PHR先進国・アメリカの動向

PHRを含むデジタルヘルスの取り組みを、いち早く推進していたアメリカはどうなのでしょうか。

アメリカの場合、日本のような国民全体への皆保険制度が存在しないことから、民間の医療保険会社が健康・医療分野に大きく影響することを留意する必要があります。

日本の制度とは異なることから、あくまでもデジタル先進国の一例、として参考としてください。

代表的なPHRとして、日本人も馴染みがある AppleがPHRのサービス「Apple Health Records」を提供しています。日本でもよく使われている、iPhoneのアプリ「ヘルスケア」を活用しています。個人が記録した健康データを閲覧するだけでなく、提携医療機関(John’s Hopkins Medical centerなど)から自身の医療データを集めていつでも閲覧できるようになっています。

EHRとの違い

PHRについてお話ししていましたが、PHRと同じような言葉でEHRというのをお聞きしたことはありませんか?

「PHRと何が違うのかわからない、、」とあなたも思うでしょう。

PHRが個人が日々行う健康記録であることに対して、EHRは医療機関が実施した検査や治療の医療情報記録であるという違いがあります。

もう少し詳しく説明すると、EHRとは電子健康記録(EHR:Electronic Health Record)と呼ばれるものです。患者さんが病院やクリニックで受けた治療歴、病院で取得した既往歴やこれまでの検査情報などを電子記録として保存し、それらの情報を1病院だけでなくそれぞれの医療機関の間で共有する仕組みです。

気の治療を行っている人の情報を、大病院だけでなく小規模なクリニックでも共有されることで、大病院での手術を終えた患者さんの経過をかかりつけ医が把握できたりします。

あるいは逆に大病院に救急搬送された患者さんの、これまでの既往歴を入院時に聴取しなくてもデータを閲覧できるので、非常に有効な考え方です。

また、病気の方だけでなく健康な方々にも必要な仕組みともいえます。

ご存知の通り会社員の方は毎年、健康診断を受ける中、血液検査や尿検査、身体所見の情報などが紙で本人に返ってきます。

異常がなければ特に残しておくこともなく、捨ててしまう方が多いです。

このような健診の結果も、EHRの仕組みがあれば都度結果が保存されます。例えばある方が健診で血液検査を実施し、その後急性期疾患により受診した際には健診結果を閲覧できます。

その際の結果と現在の症状を見ながら、必要な検査に絞って実施でき、救急対応時の効率化につながるでしょう。

医療現場におけるPHR活用のメリット

それでは、医療現場にてどのようにPHRを活用すると効果的なのでしょうか?

日常生活の状況把握/診察時との比較

医療現場におけるPHR活用のメリット

診察時の問診や、検査結果の情報を元に限られた診察時間で、適切な治療判断をするのは難しい患者さんもいらっしゃることでしょう。

そんな時にPHRを手元で確認できれば、治療の継続、変更をするかどうかのよい判断材料の一つとなります。

家庭で測定した血糖値や血圧、体重などの経過を把握できると、患者さんの発言一つについても、客観的情報からどのようなことを気をつけるべきか、アドバイスがしやすくなります。

そしてバイタルデータとともに、運動や食事の記録も閲覧できるPHRであればより一層具体的な指導につながるでしょう。

患者本人の自己管理促進

日々の診察時に指導を行うだけでは、患者さんの日常の行動変容に繋げることは現実的ではない場合が多いことも。

特に生活習慣病などの慢性疾患の患者さんの場合は一時的でなく、この先ずっと付き合っていく病気になります。

『診察後、毎日先生の言葉を思い出して生活習慣を改善する』ということは患者さんにとっても身体的・精神的な負担が大きくなりがちです。

ではどうすればよいのでしょうか?

そこでPHRが患者さんとのやりとりに役立ちます。

PHRにおいては患者さんが記録した測定値の内容とともに、生活の記録なども一緒に振り返るアプリも多く存在します。患者さん自身が蓄積された記録を適宜スマートフォンで見直すことができるのは治療継続におけるメリットです。

病診連携での活用

病診連携での活用

これまでの健康記録を元に、詳細な患者さんの状況を大病院側でも把握できるようになるため、担当患者さんが急病により連携している大病院へ、一時的に転院することになった場合にもPHRが役立ちます。

患者さんが利用するPHRは通常スマートフォンアプリである場合が多いですが、医療者が使用するPHRはクラウドベースのブラウザで閲覧できるサービスが多いです。

医療機関でインターネットが使用できるパソコンがあればすぐに導入できるのも、PHRの良い点です。

簡単なコミュニケーション方法の獲得

多くのPHRサービスには、医療機関と連携するとチャットベースでのメッセージができる機能が付帯しています。

これまで患者さんとの連絡手段では多くの場合、電話が主流でした。しかし電話の場合相手の都合に依存するため、こちらからかけても応答してもらえないこともあったかと思います。

しかし、PHRのメッセージ機能であればどうでしょう。患者さんが見たい時にメッセージを確認でき、それ対して患者さんも好きな時間に応答できるので、医療機関側も患者さん側も負担なくコミュニケーションをとることができます。

信頼関係の構築・ロイヤリティ向上へ

信頼関係の構築・ロイヤリティ向上へ

PHRで患者さんとつながると、患者さんにとっては”見てもらっている”という安心感が生まれ、”自分のことをちゃんとわかってくれている先生”という意識が定着するという現場の意見もあります。

医療機関側も、家庭での状況を確認したい状況の時に限って、患者さんのライフスタイルを邪魔することなく状況確認ができ、先生の”安心”にもつながることでしょう。

オンライン診療との併用・電話再診での活用

「オンライン診療を導入したが、家庭血圧やSMBGの値など細かい状況がわからず、どのような情報から治療継続すべきかどうか判断が難しい・・・」

「電話再診では患者さんからの口頭の情報が頼りだが、客観的情報が少ない中でアドバイスをすることに不安を感じる」

昨今オンライン診療や電話再診をされた先生で、こういったお悩みをお持ちの方もいらっしゃいます。

ここにPHRを組み合わせることで、日常生活のバイタルデータなど患者さんの客観的情報が把握できることになり、オンライン診療や電話再診がスムーズになります。

診療の予約・実際の診察のビデオ通話、そして決済ができるオンライン診療と、PHRを併用している事例もすでに出ています。

PHRにおける総務省の意見

総務省の実証実験では、”PHR アプリを活用することで、患者の日常生活の状況を把握できるので、医師の診療及び看護師等のコメディカルスタッフの指導の幅が広がり、オンライン診療の質が向上した。”と報告されています。※1

オンライン診療とPHRのいいとこ取りをすることで、診察の効率・質の向上にも繋がっていきそうですね。

PHRの課題点

PHRの課題点

これまでは、PHRのメリット、活用方法についてご紹介して参りました。しかし実際のところ、現状には課題もあります。

データをまとめること

日々測定する家庭でのデータだけが PHRではありません。医療機関から受け取る血液検査の結果や、処方された薬の内容など多岐にわたります。

昨今はさまざまなアプリなどのデータ保存先があるので、必要な時に必要なデータが確認できるようにすることが重要でしょう。

測定値を管理するアプリ、食事を記録するアプリ、お薬手帳のアプリなど、使い分けている患者さんもいらっしゃるので医療機関側で必要な情報については患者さんに確認していくのが良いです。

将来的には、さまざまなPHRの情報が双方でデータを共有できるような仕組みが期待されます。

国民全体への普及の難しさ

医療従事者だけでなく、全ての国民がPHRを活用できるのでしょうか?

PHRを使うには、アプリを介して利用する場合が多いためスマートフォンなどのデジタル製品を所有していることが条件となります。

つまりスマートフォンを所有していなければPHRの活用が非常に難しいといえます。

特に、高齢者の方だとスマートフォンを持っていないというケースも多くあります。

とはいえ、現在は高齢者の方々もスマートフォンの所有率が上がってきています。ある調査によると、シニア(60~79歳)のモバイル端末所持者は92.9%で、このうちスマホ利用者は77.0%だそうです※2。

今後、より多くの方々がPHRを利用できるようになるのではないでしょうか。

官公庁の動向

官公庁の動向

今後もさらに活用が期待されるPHRですが、日本政府はPHRをどのように推進していく計画なのでしょうか?

厚生労働省の意見

厚生労働省では、「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」が2019年から実施されています。この検討会は、急速に進む少子高齢化や人口減少が進む日本で、更なる健康寿命の延伸に向けた取組・仕組みの一つとして始まっているPHRを推進するための組織です。

当組織ではPHRの目的・方向性 を定義し、国民一人一人の健康に関する情報について適切に管理し、効果的な利用・活用が可能になる環境整備を行っています。

すでに決定した計画

2021 年3月からはマイナンバーを活用したPHRの利用が始まる予定です。

まずは健康保険証代わりとしてマイナンバーカードを使用できるようになります。また、特定健診の情報や薬剤情報、医療情報についてもマイナポータルにより提供することとされており、これらを通じて、予防、健康づくりの推進が期待されているようです。

マイナポータルとはマイナンバーを持っている方が利用できる、政府が運営するポータルサイトです。

生活に関わる行政手続きをオンライン上で行うことができます。マイナンバーカードの健康保険証利用手続きも、このサイトで行うことになります。

マイナンバーの活用を皮切りに、今後はさまざまな健康・医療等情報等も含めたPHRの活用も加速していくことでしょう。

まとめ

PHR-パーソナルヘルスレコードについて現状や今後についてご紹介しました。

患者さんが使うことで日常的な健康習慣の見直しのきっかけにもつながりそうですね。

さらに医療機関側でもPHRに対応することで、他院との差別化を図ることができるのではないでしょうか。

PHRを通常診療やオンライン診療と併用しながら今後の新しい診療スタイルの確立に向けて準備をしてみるのも良いかもしれません。

あわせて、今後の診療政府の推進、活動や規則も確認していくことが重要と言えるでしょう。

今回の内容をご参考に、今後の診療にお役立ていただけると幸いです。

なお、弊社の運営している「シンクヘルスプラットフォーム」も、患者さんが弊社のアプリ内で入力したデータを、医療機関側でもリアルタイムに閲覧することができます。クリニック・病院においては無料で使用可能ですので、詳しくはこちらからご確認ください。

 

参考文献
StatDB

・令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業 (我が国の PHR の利活用・事業創出の推進に向けた調査) 報告書 野村総合研究所 

・オンライン診療の普及促進に向けたモデル構築にかかる 調査研究 株式会社NTT データ経営研究所
・2020年、シニアはスマホを使えないはもう古い? シニアのスマホ所有率約8割
MMD研究所
マイナポータル

・国民の健康づくりに向けた PHR の推進に関する検討会開催要綱 厚生労働省
※1(引用文献)オンライン診療の普及促進に向けたモデル構築にかかる 調査研究 株式会社 NTT データ経営研究所,p48 13行目~15行目 

※2 MMD研究所 2020年、シニアはスマホを使えないはもう古い? シニアのスマホ所有率約8割


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