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さつまいもの栄養成分と効能~調理法による変化など管理栄養士が解説~

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さつまいもの栄養成分と効能~調理法による変化など管理栄養士が解説~

当記事の執筆は、管理栄養士  前間弘美が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

甘くておいしいさつまいも。

「甘いから、やっぱりカロリーが高いのかな?」
「糖質量が気になる…」

たしかにさつまいものカロリー・糖質量は多めですが、栄養素も豊富に含まれている食べ物です。

そこで今回は、さつまいもの栄養素について解説いたします。安納芋や紫芋の栄養素についてもお話ししますので、ぜひ最後までお付き合いください。

さつまいもの栄養素と効能

さつまいもの栄養と効能
さつまいもには糖質や食物繊維、カリウム、ビタミンCなど健康を保つために欠かせない栄養素が含まれます。

さっそく、それぞれの働きや効能について見ていきましょう。

エネルギー源となる糖質

糖質は脳や体のエネルギー源であり、ほかのいも類と比べてさつまいもに多く含まれます

カロリー糖質
さつまいも127kcal31.0g
やまといも119kcal26.9g
ながいも64kcal14.1g
じゃがいも51kcal15.5g
※100gあたり

上記の通り、さつまいもの糖質量はじゃがいもの2倍近くもあります。

また一般的なさつまいもは、中サイズ1本の重さが300〜400gで、おおよそ380〜500kcal、糖質は93〜124gです。

参考までに、ご飯普通盛り1杯(150g)が234cal、糖質は57.2gですから、さつまいも1本あたりのカロリーと糖質がとても多いとわかります。

そのため、さつまいもを主食代わりとして食べるときは、中サイズで1/2本程度しましょう。

また間食として楽しむ場合にも、さつまいもの食べすぎには注意が必要です。

参考記事:さつまいものカロリーと糖質量~ダイエット効果を栄養面から解説~
参考記事:山芋の栄養成分と効果~健康効果や注意点を詳しく解説~
参考記事:じゃがいものカロリー・糖質は多い?ダイエット向きか検証

お通じをよくする食物繊維

さつまいもには、便秘解消のカギとなる食物繊維が含まれています。

たとえば中サイズのさつまいもを1/2本(200g)食べると、5.6gの食物繊維を摂れます

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020」によると、1日の食物繊維の目標量が18〜64歳では男性21g以上、女性18g以上です。

つまり中サイズのさつまいもを1/2本食べれば、1日の目標量に対して男性は1/4以上、女性は1/3近くの食物繊維を摂取できるのです。

なお便秘はむくみや血行不良、さらには代謝が下がる原因になります。これらを予防するためにも、日ごろから積極的に食物繊維を摂りましょう。

生命維持に関わるカリウム

サツマイモの味噌汁

カリウムは生命維持に関わるミネラルで、細胞の浸透圧を調整しています。

また、カリウムには塩分(ナトリウム)の排泄を促進する作用もあるので、高血圧の予防に有効です

ただし、カリウムは水に溶けやすいので、茹でると流れ出てしまいます。味噌汁など汁ごと食べる調理法にすれば、さつまいものカリウムを無駄なく摂取できるでしょう。

さつまいものポタージュスープなど、茹で汁ごと食べられる料理をお試しください。

病気への抵抗力を高めるビタミンC

さつまいもは、いも類の中ではビタミンCが豊富です。

なおビタミンCは、日焼けを防ぎ、病気やストレスに対する抵抗力を高めてくれます。

通常、ビタミンCは加熱すると壊れやすいのが難点です。

ところが、さつまいものビタミンCはでんぷんによって保護されるため、加熱しても壊れにくい特徴があるのです。

安納芋や紫芋の特筆すべき栄養素

さつまいもには安納芋や紫芋のように、さまざまな品種があります。そしてそれらの違いは、味だけでなく成分にも関わっています。

β-カロテンの多い安納芋

安納芋は、強い甘みを持った品種です。

また安納芋の果肉はオレンジ色で、多くの β-カロテンを含んでいることもポイントです。

β-カロテンは体内でビタミンAに変わり、活性酸素の働きを抑え、取り除く抗酸化力があります。

そのため、体内の老化を防ぐほか、生活習慣病の予防効果が期待されています。

アントシアニンを含む紫芋

紫いも
紫芋は、その名の通り果肉が紫色の品種です。

紫いもは甘味が少ないので、お菓子などに加工して食べることがほとんどです。

たとえば、色味を活かしたアイスクリームなどに利用されます。

紫色はポリフェノールの1種であるアントシアニンによるものです。

アントシアニンには強い抗酸化作用があるため、β-カロテンと同様に活性酸素の働きを抑え、生活習慣病の予防に役立ちます。

焼き芋やふかし芋にしても栄養価の変化は少ない

さつまいもの栄養は、焼いても蒸しても大きな変化はありません100gあたりの栄養成分を比較してみると、このような結果になります。

さつまいも(生・皮なし)さつまいも(蒸し・皮なし)さつまいも(焼き・皮なし)
カロリー126kcal131kcal151kcal
水分65.6g65.6g58.1g
糖質30.9g32.6g36.7g
カリウム480mg480mg500mg
ビタミンC29mg29mg13mg
※100gあたり

「生」と「蒸し」の差はほとんど見られませんが、「焼き」は栄養素に変化が見られます。これは、焼いたことによって水分量が減っているからです。

水分が減ると元の重さより軽くなるので、100gに換算すると「生」や「蒸し」よりも「焼き」のさつまいもの栄養素が大きく変化したように見えます。

ところが生のさつまいも1本で考えると、蒸しても焼いても栄養素の変化はほとんどないのです。

茹でた場合のデメリット

繰り返しになりますが、カリウムは水に溶けやすいので茹でると流れ出てしまいます

たとえば、さつまいもを1cmの輪切りにして20分茹でると、カリウムが約24%損失したとの報告もあります。

また、ビタミンCも水に溶けやすいです。そのため、茹でるとビタミンCも多く流れ出てしまいます。

さつまいもから効率よくカリウムやビタミンCを摂取したいのであれば、焼き芋やふかし芋の方がよいですね。

さつまいものGI値が低いって本当?

さつまいもの特徴の1つに、GI値が低いことが挙げられます。

GI値とは、食後血糖値の上昇度を表す値。つまりGI値の低い低GI食品は、食後血糖値が上昇しにくい食品なのです。

血糖値が上昇しにくいと、インスリン(血糖値を下げるホルモン)による血液中の糖分を脂肪として体にため込む働きが抑制されます。

そのためさつまいもは血糖値が気になる方はもちろん、ダイエットにも活用できます。

血糖値が気になる方向け!さつまいもの食べ方

糖尿病など血糖値が気になる方は、さつまいもの食べる量に注意しましょう。

低GI食品であるさつまいもも、食べすぎれば血糖値は上昇します。

そのため、ほかの食材とのバランスに注意しながら量を決める必要があるのです。

さつまいもを主食としてご飯の代わりに食べる場合や、間食として楽しむ場合など、状況によって食べる量の目安は異なります。

ご紹介した糖質量やカロリーを参考にしつつ、適量を楽しみましょう。

参考記事:【管理栄養士が解説】糖尿病の方が焼き芋を食べてもいいのか?

ダイエットや糖質制限中への活用法

体重計

さつまいもを主食代わりにすることで、ダイエットや糖質制限中に活用できるでしょう。

なぜなら、低GI食品であるさつまいもは、白米などと比べて血糖値が上昇しにくく、太りにくいからです。

また食物繊維も豊富なので、便秘になりがちなダイエット中に適した食品ともいえます。

ただし主食として置き換える場合にも、中サイズのものを1日1/2本を上限として、食べすぎないよう気を付けてくださいね。

参考記事:ダイエットにさつまいもが良いって本当?〜効果・やり方・レシピをポイント解説〜

葉や茎(つる)にも栄養がたっぷり

葉付きさつまいも
実はさつまいもの葉や茎は、栄養価が高いです。ちなみに、日ごろ食べている部分は塊根(かいこん)と呼ばれます。

日本ではさつまいもの葉や茎を食べる機会がほとんどありませんが、東南アジアや台湾などの亜熱帯や熱帯地方では日常的に食べられています。

それでは、具体的に栄養成分を比較していきましょう。ここでは、さつまいもの塊根部分(皮なし・生)と比べます。

まず食物繊維は、塊根と比べて葉は2倍以上、茎はなんと4倍以上と豊富に含まれています。

ミネラル成分は葉に多く含まれカルシウムは約2倍、マグネシウムは約4倍、鉄は約11倍です。

そして葉のたんぱく質量は、なんと塊根の25〜30倍も含まれます。

また葉はビタミン類も豊富で、カロテン、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンEなどは緑黄色野菜に近い量です。

このように、葉や茎には栄養素が多く含まれるとわかります。葉つきのさつまいもを手に入れた際には、炒め物などにしてぜひ食べてみてください。

まとめ

以上、さつまいもの栄養について解説しました。

さつまいもは、糖質や食物繊維、カリウム、ビタミンCが豊富に含まれます。

またβ-カロテンを含んでいる安納芋や、アントシアニンが多く含まれている紫芋など、品種による栄養素の違いが見られます。

さつまいもは、いも類の中ではカロリー・糖質ともに高めです。ただし、主食類と比較するとそう高くないこと、GI値が低いことから血糖値が気になる方や糖質制限中、ダイエット中でも食べられる食品といえるでしょう

それでは当記事が参考となり、あなたの食卓にさつまいもを取り入れていただければ幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
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参考文献
・文部科学省 食品成分データベース
・厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書 e-ヘルスネット
・独立行政法人農畜産業振興機構 今月の野菜 さつまいも
・J-Stage 食品中カリウム含有量の調理操作による変化 サツマイモ(Ipomoea batatas Poiret)葉の機能性および食品への応用

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