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【医師監修】妊娠高血圧症候群とは~症状や妊婦さんにできる予防法を紹介~

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妊娠高血圧

当記事は、産婦人科医師 大村美穂先生にご監修いただきました。
当記事の執筆は、管理栄養士
 前間弘美が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

妊娠中は不安が尽きないものです。たとえ健診で大丈夫だといわれても、無事出産するまでは心から安心できないともいえます。

そんな中医師から、

「あなたは、妊娠高血圧症です。」

と言われたら心配になりますよね。妊娠高血圧症候群は、妊婦さんの20人に1人の割合で起こるといわれています。

そこで今回は、妊娠高血圧症候群についてわかりやすく解説いたします。治療や予防方法もお伝えするので、最後までご覧ください。

妊娠高血圧とは

妊娠時に高血圧を発症することを、妊娠高血圧症候群といいます。

なお、妊娠前から高血圧があった、もしくは妊娠20週未満で高血圧になった場合は、高血圧合併妊娠といいます。

妊娠初期の血圧は妊娠経過とともに緩やかに下がっていき、妊娠20週頃に最も血圧が低くなるのです。そして妊娠20週以降は血圧が緩やかに上昇し、妊娠前の血圧まで戻ります。

そのため妊娠初期に血圧が高いということは、妊娠前から血圧が高かったと考えられます。

原因はなに?

妊娠高血圧症候群の原因は研究中で、はっきりとわかっていません

最近では、胎盤(赤ちゃんへの栄養の通り道)の血流が低下することで引き起こされるのではないか、と考えられています。

どのような人がなりやすいのか

どのような人がなりやすいのか

妊娠高血圧症候群になるリスクが高い人を以下にまとめました。

・妊娠前から糖尿病・高血圧・腎臓の病気がある
・肥満
・母体の年齢が高い(40歳以上)
・家族に高血圧の人がいる
・多胎妊娠(双子など)
・初めての妊娠
・以前に妊娠高血圧症候群になったことがある
リスクが高いからといって必ず妊娠高血圧症候群になるわけではありませんが、普段からお家で血圧を測る習慣をつけるなど、日常生活で血圧が上がらないように対策をしておくと安心ですね

妊娠高血圧の診断基準

妊娠高血圧の診断基準

収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧(下の血圧)が90㎜Hg以上になると、妊娠高血圧症と診断されます。

そして妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合を妊娠高血圧症妊娠20週以降に高血圧と蛋白尿がみられる場合は妊娠高血圧腎症と分類されます。

妊娠高血圧を早期発見するには自分の血圧を知ること大切ですが、妊娠中は血圧の変動が起こりやすいので注意が必要です。そのため妊娠前から自分の血圧を知り、自分の妊娠期を考慮して血圧の評価をすることが大切です。

参考記事:高血圧とは~症状や生活習慣での改善ポイントなど分かりやすく解説~

妊娠高血圧の症状

妊娠高血圧症候群の症状は、高血圧と蛋白尿です。

また妊娠34週未満で妊娠高血圧症候群になった場合は、重症化しやすいため注意が必要です。重症化すると高血圧と蛋白尿以外に、けいれん発作・脳出血・肝臓や腎臓の機能障害が起こることがあります。

赤ちゃんへの影響

赤ちゃんへの影響としては、

・成長がゆっくりになる
・赤ちゃんの健康状態が悪くなる

といったことが考えられ、最悪の場合には赤ちゃんが亡くなってしまうことも。

妊娠高血圧症候群と診断された場合、自覚症状がなくても必ず治療しましょう。

高血圧合併妊娠の場合

高血圧合併妊娠の場合

高血圧合併妊娠の方も妊娠高血圧の方と同様に、重症化するとけいれん発作や脳出血、肝臓・腎臓の機能障害が起こります。また、赤ちゃんへの影響も妊娠高血圧の方と同様に成長がゆっくりになるほか、健康状態が悪くなるという可能性があります。

そのため妊娠前から高血圧であるとわかっている場合は十分な妊娠中の血圧管理が大切です。

治療すれば治るのか

妊娠を継続した状態での妊娠高血圧症候群を、完全に治す方法はありません

また、降圧剤などで急激に血圧を下げると赤ちゃんに負担がかかり状態が悪くなることもあるため、慎重な管理が必要になります。赤ちゃんの週数がある程度大きくなっていて、血圧のコントロールが困難な場合にはお産を早めることもあります。

妊娠中の血圧管理は週数との兼ね合いで、非常に複雑です。主治医の診察を定期的に受け、適切な管理を行いましょう。

薬を使うケースもあるの?

薬を使うケースもあるの?

重症な高血圧の場合には血圧を下げるほか、けいれん予防のための薬を使うことがあります。妊娠中に使用できる薬があるので、安心してくださいね。

なお薬の量は、母子の状態を見ながら医師が慎重に判断するので、指示通りの薬を必ず内服しましょう。

参考記事:高血圧の薬「降圧剤」とは〜効果・種類・副作用を分かりやすく解説〜

食事で気を付けること

高血圧というと塩分を控えるイメージはありますが、妊娠中の過度な塩分制限はよくないとされています。

主治医の指導のもと適切な食事管理をしましょう。

妊娠高血圧を予防するために

妊娠高血圧を予防にするには生活習慣を整えることが大切です。

・食事
・運動
・禁煙
・適度な飲酒

 

禁煙や飲酒に関しては妊娠中は厳禁なので、そのほか気になる点があれば改善することをおすすめいたします。

また妊娠すると血圧が変動しやすくなるため、妊娠前から自分の血圧を把握しておくとよいですよ。

参考記事:高血圧を予防する生活習慣とは~5つのポイントを各分野の専門家が解説~

食事でのポイント

食事でのポイント

食事はバランスよく摂取することが大切です。主食・主菜・副菜・乳製品・果物を適度に食べましょう。

また、塩分は適量摂るよう意識してくださいね。ちなみに厚生労働省の食事摂取基準によると、健康な成人女性の塩分摂取量の目安は6.5g以下です

参考記事:糖尿病でも塩分制限は必要?~塩分の摂取目安量や控える方法も解説~

りんご酢が良いって本当?

やや血圧が高めの方を対象とした研究で、りんご酢飲料や玄米酢飲料を飲むと血圧が下がった、という結果があるようです。

とはいえ、お酢はあくまで補助的な役割に過ぎません。生活習慣を整えた上で、お酢を取り入れるのであればよいでしょう。

参考記事:お酢にダイエット効果があるってホント?~飲み方やタイミングも解説~

適度なウォーキングがおすすめ

高血圧を予防する生活習慣として有酸素運動が挙げられます。有酸素運動であれば、ウォーキングが手軽でおススメです。

通常の高血圧予防であれば毎日30分以上の運動が目標ですが、妊娠中に無理は禁物なので主治医に相談の上適度な運動をしてくださいね。

参考記事:血圧を下げる運動とは〜方法やコツをポイント解説〜

リラックスするのも大切

リラックスするのも大切

疲れが溜まったりストレスを抱え込んでいたりすると、血圧が上がることもあります。

・ゆっくり深呼吸する
・自分の好きなことをする
・友達と食事をする
・ゆっくりお風呂につかる

など、あなたがリラックスできそうなことを探してやってみるのもよいでしょう。

参考記事:ストレスで起こる体や心の異変~生活習慣病への影響も解説~

まとめ

以上、妊娠時に高血圧を発症することを妊娠高血圧症候群というとわかりました。

妊娠前から高血圧があったもしくは妊娠20週未満で高血圧になった場合は、高血圧合併妊娠といいます。診断基準は収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧(下の血圧)が90㎜Hg以上です。

治療は主に安静や入院、医師の判断によっては薬を服用する場合もあります。

それでは当記事が参考となり、妊娠高血圧症群について少しでも不安がやわらぐと嬉しいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血圧・体重・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてくださいね。

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考文献
・国立研究開発法人国立成育医療研究センター 妊娠と高血圧
・公益社団法人日本産科婦人科学会 妊娠高血圧症候群
・中村敏子(2018):女性の高血圧管理(妊娠、更年期の管理を含む),日本臨床,
 76(8),1340-1346
・鈴木洋通(2020):女性の高血圧治療,診断と治療,108(4),507-512

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