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妊娠糖尿病とは〜胎児への影響・予防・食事までをシンプルに解説〜

  • 公開日:2020.11.11
  • カテゴリ
妊娠糖尿病とは?〜原因から予防・治療までをわかりやすく解説〜

「妊娠中に食の好みが変わって甘いものを食べていたら、糖が上がっちゃって、お医者さんに気を付けてって言われてしまった」

そこでですが、あなたは妊娠糖尿病って聞いたことがありますか?

妊娠糖尿病とは、妊娠中に糖の代謝異常が起きることです。

この妊娠糖尿病、実はお母さんの体にも赤ちゃんの体にも影響を及ぼすため、医師から注意深くアドバイスを受けるケースがあります。。

お母さんと赤ちゃん、お互いの健康のために、今回は、妊娠糖尿病が起きる原因・予防・治療について、お伝えしていきますね。

妊娠糖尿病の原因 

妊娠中は、胎盤ホルモンの影響などにより、インスリン抵抗性※1が増えます。そして妊娠後半期には、耐糖能が低下※2する傾向があります。

インスリン抵抗性が増えて、耐糖能が低下すると、血糖値は上がりますよね。このように妊娠中は糖代謝異常を発症しやすくなります。妊娠糖尿病につながります。

※1:インスリン抵抗性…糖の吸収を促す作用をするインスリンの作用が十分に発揮されなくなること。
※2:耐糖能…血糖値を正常に保つためにブドウ糖を処理する力のこと。

また、以下に当てはまる方は妊娠糖尿病になりやすい特徴もあります。

・尿糖の持続的な陽性が続いている
・糖尿病の家族歴がある
・肥満、過度の体重増加がある
・巨大児出産の既往がある
・高齢出産(35歳以上)
・過食、運動不足等の生活習慣がある


該当する人が皆さん妊娠糖尿病になる訳ではありませんが、少しでも当てはまると感じたら、血糖値に気を付けてもらえると良いかもしれません。

妊娠糖尿病は治るのか?

しっかり血糖をコントロールすることができれば、特に合併症を起こすこともなく出産ができて、産後には血糖も正常に戻るという方がほとんどです。

妊娠糖尿病のリスク

妊娠糖尿病になると何が起こるのか?というのが、気になるポイントだと思います。

お母さん・赤ちゃんに起こる可能性がある一例を下記に列挙しました。

妊娠糖尿病で赤ちゃんにも起こること

必ずこれらの合併症が起こるという訳ではありませんが、可能性があることは知っておいて欲しいです。

胎児への影響

胎児

妊娠糖尿病で起こることの中でも、一番気になるのは『赤ちゃんへの影響』ではないでしょうか?特に『奇形』は心配される方が多いと思います。

2016年の時点で、糖尿病ではない妊婦さんの奇形発生率は1.7%、妊娠前に糖尿病の治療を開始している妊婦さんの奇形発生率は2.1%と言われており、大差はありません。

ただし、妊娠後に糖尿病の治療を開始した妊婦さんの奇形発生率は9.0%であることからも、妊娠中の血糖値のコントロールが悪くなるにつれて発生率は高くなると言われています。

つまり奇形を少しでも予防するためには、しっかり検査を受けて、血糖の管理をちゃんと行うことが大切ということになります。 

妊娠糖尿病の予防

妊娠糖尿病を防ぐためのポイントは、『しっかり検査を受けること』『食事に気を付けること』です。

検査で入念にチェック

妊娠の早い時期に血糖を測定して、血糖値が高い場合はブドウ糖負荷試験※3を行います。

妊娠初期に特に問題がなくても、妊娠が進むにつれてインスリン抵抗性が増していくので、妊娠中期にもう一度検査を受ける必要があります。

妊娠糖尿病は症状がないことが多いので、自分では気づきにくいです。ただ、妊婦さんの7~9%は妊娠糖尿病と診断されると言われており、きちんと検査を受けることは大切です。

血糖値は、朝食前で70~100mg/dL食後2時間で120mg/dL未満が目標です。

また、HbA1cの値も6.2%未満が目標とされています。

厳格な血糖管理が必要と言われた場合は、4~7回/日の血糖測定が望ましいと言われています。

※3:ブドウ糖負荷試験…空腹時にブドウ糖溶液を飲んで、適宜採血を行い、体内の血糖値の変動を確認する検査

食事でしっかりケア

妊娠中はできる運動が限られているので、食事に気を付けることが大切です。

大体どのくらいのカロリーを摂取すれば良いのか、参考までに一般的な計算式を示しておきますね。

【BMI※4<25の妊婦さんのエネルギー量】
○標準体重×30kcal+負荷量
(負荷量は、妊娠初期:50kcal、妊娠中期:250kcal、妊娠末期:450kcalです。)

【BMI≧25の妊婦さんのエネルギー量】
○標準体重×30kcal
(一般的に負荷量は加えません。)※BMI…[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値。肥満や低体重(やせ)の判定に用いる


上記はあくまで参考値です。

血糖値の状態を見ながら個別に指示カロリーが出ることが多いです。主治医に確認してみてくださいね。

妊娠糖尿病を治療するには

妊娠糖尿病の治療

妊娠糖尿病の治療は、『食事療法』と『インスリン療法』が基本になります。

基本は食事の改善

食事は、予防にも大切ですが、治療においても大切です。

まず1日の摂取カロリーは先程で示した計算式に当てはめてみてください。

例えば、身長:155cm妊娠前体重:53㎏BMI:22.06妊娠中期の方。

1日の摂取カロリーの目標値は、53㎏×30kcal+250kcal=1840kcalです。

妊娠中は空腹時の血糖値が低く、食後の血糖値が高くなりやすいという特徴があります。なので、同じ食事量でも4~6回/日に分けて食べる『分食』が有効な場合があります。

また、妊娠も後半になってくると、ケトーシスになりやすいので、補食が必要になることもあります。

ケトーシス体が脂肪を分解してできるケトン体という成分が、血液中に増加すること

参考記事:産後ダイエットの効果的な方法とは〜成功の秘訣を管理栄養士が紹介〜

血糖値を下げる食品

血糖値を下げる食品

直接血糖値を下げる食事というのは難しいかもしれません。ただ、野菜を先に食べてから主食を食べると血糖値の上昇が緩やかであると言われています。

最初に野菜・きのこ・海藻といったおかずを 5 分以上かけて食べ、 次にたんぱく質のおかずを 5 分かけて食べ、最後に炭水化物の主食を 5 分かけて食べると血糖上昇が抑えられ、血糖コントロールが改善すると言われているのでお勧めです。

参考記事:糖尿病に良い食べ物は?食材やメニューをわかりやすく紹介

薬物療法

妊娠糖尿病における薬物療法の基本は、強化インスリン療法です。飲み薬は胎盤を通して赤ちゃんに伝わってしまうので、基本的には使用しません。

インスリンの中にも妊婦に使って安全なもの・まだ安全が確かめられていないものがあるので、主治医の先生の指示に従って正しく使用してください。

場合によっては入院も必要

食事療法が上手くいかなかったり、インスリンの調整が必要になったりした場合、入院を勧められることがあります。多くが1~2週間の入院で、カロリーをコントロールした食事を食べ、妊娠糖尿病に対しての知識を深めます。

入院して初めて血糖測定やインスリンを使う人は、手技を覚えるための練習をすることもあります。

出産後の注意点

産後6~12週間後に再度ブドウ糖負荷試験を受けます。その際に、妊娠糖尿病が治っているかを確認してもらいましょう。

妊娠糖尿病が治っていたとしても、妊娠糖尿病になった人はならなかった人に比べて高頻度で糖尿病になると言われています。そのため、定期的な検診は必要です。

また、赤ちゃんを母乳で育てると、将来的にお母さんも赤ちゃんも糖尿病になる頻度が減るということが知られています。

現代のライフスタイルだと大変かもしれませんが、母乳栄養を心がけてみるのも良いかもしれません。

参考記事:妊婦さんがなりやすい妊娠高血圧症候群とは〜症状・対策などカンタン解説〜

まとめ

それでは、今回の記事でお伝えしたことを振り返ります。

妊娠糖尿病とは、妊娠中に糖の代謝異常が起きること
◎妊娠中はインスリン抵抗性が増え、耐糖能が低下し妊娠糖尿病になりやすい
◎妊娠糖尿病は赤ちゃんにも影響を及ぼすことがある
◎妊娠糖尿病は産後に血糖値が正常に戻ることが多い
◎妊娠糖尿病の予防で大切なのは、検査を受け食事に気を付ける
◎妊娠糖尿病の治療の基本は、食事療法とインスリン療法
◎出産後も、血糖値には注意が必要


今回の記事が少しでも皆さんの妊娠・出産に役立つと嬉しいのと、
お母さん・赤ちゃんが共に健康でいてくれると幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や食事の記録がカンタンにできます。記録がグラフになり状況が把握しやすいのでぜひ活用してみてくださいね。

 

参考文献
医療情報科学研究所編(2019),病気がみえるvol.3 糖尿病・代謝・内分泌 第5版,P96-97
今井佐恵子(2014):野菜を先に食べると、本当に血糖値を下げる効果があるの?,Nutrition Care,7(1),50-51
一般社団法人日本内分泌学会(2019):妊娠糖尿病,(参照:2020年10月23日)
公益社団法人日本産科婦人科学会(2018):妊娠糖尿病(参照:2020年10月23日)
日本糖尿病・妊娠学会(2016):糖尿病と妊娠に関するQ&A(参照:2020年10月22日) 

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