豆苗の栄養成分と効能~栄養を逃さない効果的な食べ方も解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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エンドウ豆の若菜で、スプラウト(※)のひとつである豆苗。
(※)新芽のこと。もやしやかいわれ大根もスプラウトの一種。
豆苗は元々中華の高級食材でしたが、最近ではお手頃な価格のため、食卓にあがる機会が増えた方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、豆苗の栄養や効能について分かりやすくお伝えしていきます。豆苗を使ったお手軽レシピもご紹介しますので、最後までお付き合いください。
目次
豆苗の栄養と効能
緑黄色野菜(※)に分類される豆苗には、ビタミンやミネラルが豊富です。
(※)人参やほうれん草など、可食部100gあたりカロテンが600㎍(マイクログラム)以上含む野菜のこと
それでは順に解説していきますね。
体を構成する成分をつくるたんぱく質
豆苗には、三大栄養素(※)のひとつであるたんぱく質が含まれます。
(※)炭水化物・たんぱく質・脂質の3つの栄養素のこと
たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚といった体を構成する成分を作るだけでなく、酵素やホルモンなど体の機能を調整する働きもあります。
さらに、たんぱく質が不足すると筋力が低下するため、私たちの体を健康に維持するためには重要な栄養素です。
老化防止に役立つβ-カロテン
豆苗は抗酸化作用があるβ-カロテンが豊富なため、老化予防に役立ちます。
さらに、β-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、免疫機能や視力の調整にも効果が期待できます。
骨粗しょう症を予防するビタミンK
豆苗は、ビタミンKも豊富です。
ビタミンKは丈夫な骨を作るために必要なビタミンで、骨粗しょう症の予防にも役立ちます。さらに出血した時に血を固める際にも、重要な働きをします。
妊娠中の女性にうれしい葉酸
豆苗に含まれている葉酸は、ビタミンB群のひとつです。赤血球の生産を助ける働きがあるため、貧血予防に効果が期待できます。
さらに葉酸は胎児の正常な発育にも必要なため、妊娠を計画している、あるいは妊娠中の女性には嬉しい栄養素のひとつです。
美容効果のあるビタミンC
豆苗にはビタミンCが豊富で、1パック(可食部85g前後)あたり37mg含まれます。これは、成人が1日に必要とする量の1/3相当です。
抗酸化作用があるビタミンCは、皮膚や血管の老化を防ぐため美容効果に役立ちます。
さらにビタミンCは、ストレスや風邪に対する抵抗力を強める働きも期待できるため、美容効果や抵抗力を高めたい方にも嬉しい食材といえますね。
もやしやスプラウトとの栄養の違い
豆苗と同じような形をした、もやしやブロッコリースプラウトとの栄養を比べてみましょう。
*100gあたり
上の表から、豆苗はビタミンCがブロッコリースプラウトより少ないものの、他の栄養素は多いことがわかりますね。
そんな栄養豊富な豆苗は、年中手に入りやすい上に緑黄色野菜です。さらに彩りもよいので、食事の一品に取り入れたい食材です。
参考記事:【実はすごい!】もやしの栄養 〜効能や効果的な食べ方をポイント解説〜
豆苗の栄養を逃さない効果的な食べ方
豆苗の栄養を逃さない効果的な食べ方は、生で食べることです。
というのも、豆苗に含まれる葉酸やビタミンCは加熱により損失しやすいからです。
ただし、豆苗に含まれるβ-カロテンは油と一緒に摂ると吸収率が上がるので、ドレッシングをかけたサラダや炒め物にするとより多く摂取できます。
また水に溶けやすい葉酸やビタミンCは、スープや味噌汁に入れると汁に溶けだした栄養素も余すことなく摂れます。
このように、豆苗の摂りたい栄養素によって調理方法を変えるとよいでしょう。
加熱すると栄養が変わるの?
繰り返しになりますが、豆苗を加熱するとビタミンCや葉酸が失われやすくなります。ただし豆苗に含まれているβ-カロテンは、油と一緒に摂ることで吸収率が上がります。
そこで豆苗は油を使って短時間で炒めると、βカロテンを効率よく摂れる上にビタミンCや葉酸の損失をおさえられるので、オススメですよ。
豆苗は生で食べても大丈夫か
先程もお伝えした通り、豆苗は生でも食べられます。なぜなら、豆苗は比較的アクが少ないからです。
カットした豆苗は流水でサッと洗うと、水に溶けやすいビタミンCや葉酸の損失を少なくすることができます。
豆苗を生で食べると、ほのかな豆の香りとシャキシャキとした食感が楽しめますよ。
根元の豆は食べても良いの?
豆苗の根元の豆を食べる方がいらっしゃるのは事実です。
というのも、豆苗はエンドウ豆からできているので、食べられそうな気がしますね。
しかし豆苗は、根元部分を食べることを想定して作られておらず、さらに豆苗が成長する過程で根元の豆の栄養分がほぼ使われているため、味や食感の面からいうとあまりおすすめできません。
豆の付いた根元部分をそのまま捨てるのはもったいないという場合は、根元部分を水に漬けて、再生栽培をするのがオススメです。7~10日で再収穫できますので、ぜひお試しください。
豆苗を食べ続けると体に悪いのか
豆苗を食べ続けることで、体に悪い症状が出る方もいます。というのも豆苗には、不溶性食物繊維が多く含まれているからです。
一般的には、便秘に効果がある不溶性食物繊維ですが、摂り過ぎると便秘がひどくなる場合やほかの栄養素の吸収を妨げる場合があります。
栄養豊富な豆苗ですが、食べ過ぎは体調不良を引き起こす可能性があります。
健康な生活を送るためにはひとつの食材に偏るより、毎日色々な食材を食べてより多くの栄養素を取り入れると良いでしょう。
豆苗に毒があるって本当?
豆苗に毒がある、という明確な根拠は今のところ見当たりません。
しかし、同じ豆類であるインゲン豆にはレクチンという食中毒の原因物質が含まれます。
インゲン豆を不十分な加熱で食べると腸粘膜などに炎症を起こし、吐き気や下痢などの症状が出るので注意しましょう。
なお、インゲン豆は充分に加熱するとレクチンによる食中毒は起こらないので、心配し過ぎる必要はありません。
豆苗を使った手軽で簡単なおすすめレシピ
豆苗のβ-カロテンを効率よく摂ることができる炒め物をご紹介します。
中国野菜のひとつである豆苗は、中華風の味付けにすることで美味しく食べることができます。さらに、脂身の少ない豚もも肉を使っているので、カロリーが気になる方にもおすすめです。
【豆苗と豚肉のオイスターソース炒め】
・豆苗 1袋
・豚もも肉 100g
・オイスターソース 大さじ1
・醤油 小さじ1
・こしょう 少々
・ごま油 大さじ1
【作り方】
①豆苗は、根元を切り落として水で洗い3cm幅に切る
②豚もも肉は、一口大にカットにする
③ごま油を入れて熱したフライパンで、②の豚もも肉を炒める
④豚もも肉の色が変わってきたら、①の豆苗を入れサッと火を通す
⑤オイスターソース、醤油、こしょうで味付けして、お皿に移したらできあがり
参考記事:豚肉のカロリーと糖質が多め?〜部位別にわかりやすく解説〜
まとめ
以上、豆苗にはたんぱく質やβカロテン、ビタミンK、葉酸、ビタミンCなど、私たちの体にとって嬉しい栄養素がたくさん含まれていることが分かりましたね。
さらにもやしやブロッコリースプラウトと比べても、たんぱく質やβ-カロテン、ビタミンK、葉酸といった栄養素が豊富に含まれています。
また、豆苗に含まれているβ-カロテンは油と一緒に調理すると吸収率が上がります。ただしビタミンCや葉酸は加熱調理で損失しやすいため、短時間で炒めることがポイントです。
そして不溶性食物繊維が多い豆苗は、毎日食べ続けると便秘がひどくなる場合があるため、食べ過ぎないよう注意してください。
ひとつの食材に偏るより、色々な食材から栄養を摂るとよいでしょう。
それでは今回の記事により、豆苗を食卓に取り入れていただけるといただけるとうれしいです。
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参考文献
日本食品標準成分表 2020年度版(八訂)
カロリーSlism
JAぎふ しあわせレシピ
農林水産省 豆のこと、もっと知りたい。
厚生労働省 e-ヘルスネット
国立保健医療科学院 No.1230 加熱不十分な白インゲン豆の摂取による健康被害事例
J-STAGE 植物レクチンの消化器系への生物学的作用代謝に対する影響と応用
村上農園ホームページ