やっぱりすごい!うなぎの栄養成分~体に嬉しい効果について詳しく解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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夏のスタミナ源として、土用の丑(うし)の日に食べる方も多いうなぎのかば焼き。そんなうなぎの旬は、実は冬眠に向けて栄養をため込む冬です。
そこで、今回は古くから親しまれてきたうなぎの栄養素や効能について、わかりやすくお伝えしていきます。ぜひ最後までお付き合いください。
目次
うなぎの栄養素と効能
うなぎには、私たちの体にとって嬉しい栄養素が多く含まれます。では早速、順に解説していきますね。
健康に良い脂質DHA・EPA
うなぎは、DHAやEPAといった不飽和脂肪酸が豊富です。DHAは、脳の発達促進や視力の低下予防・動脈硬化の予防改善、EPAは高血圧予防や炎症を抑える働きが期待できます。
DHAやEPAは、肉の脂に含まれる飽和脂肪酸(※)と違い、うなぎなどの魚油に含まれ健康によい脂質です。
(※)飽和脂肪酸は私たちの体に必要な栄養素ですが、摂り過ぎることで血中コレステロールが増加し、心筋梗塞などの原因となります。
なお、DHA・EPAを含むn-3系不飽和脂肪酸の目安摂取量は、18歳以上の男性で1日2g以上のところ、うなぎ100gあたりでは2.4gも含まれています。そして、DHAやEPAは私たちの体内では作ることができないため、積極的に摂りたい栄養素ですね。
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目や粘膜の健康を保つレチノール
ビタミンAの主成分であるレチノールは、脂溶性ビタミンに分類され目や皮膚の粘膜を健康に保つほか、抵抗力を高める効果が期待できます。そしてうなぎのかば焼きを約1/3パック食べると、1日に必要なビタミンAをほぼ満たすことが可能です。
骨や歯をつくるカルシウム
うなぎは、骨や歯の構成成分になるカルシウムも豊富です。カルシウムは私たちの体に最も多く存在するミネラルで、ストレスを和らげたり血が固まるのをサポートする働きも期待できます。
なお、カルシウムが豊富なことで有名な牛乳には、100mlあたり110mgのカルシウムが含まれています。一方でうなぎのかば焼きは100gあたりのカルシウム含有量が150mgで、牛乳よりも多いです。カルシウムを積極的に摂りたい方にとって、うなぎは嬉しい食材ですね。
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疲労回復にビタミンB1
うなぎには疲労回復に効果があるビタミンB1も豊富に含まれ、魚介類ではトップクラスに入ります。体力を消耗しやすい夏にも、うなぎは効果がある食材といえますね。
男性に嬉しい効果あり?ビタミンE
脂溶性ビタミンに分類されるビタミンEは、抗酸化作用が強いため血中LDLコレステロールの酸化を抑えたり、老化防止、さらには生殖機能を維持する働きも期待できます。
筋肉の構成成分となるたんぱく質
魚介類に分類されるうなぎは、動物性たんぱく質食品です。
たんぱく質は体を作る構成成分というだけでなく、体の機能を調整する働きもしているため、不足すると抵抗力が弱くなり筋力が低下します。
女性に嬉しい効果のあるコラーゲン
皮膚や軟骨の構成成分であるコラーゲンも、うなぎには含まれています。コラーゲンは皮膚の弾力を守る働きも期待できるので、女性にはとくに嬉しいですね。
うなぎは「栄養がない」「体に悪い」って本当なの?
先程もお伝えした通り、うなぎにはビタミンやミネラルが豊富に含まれるため、栄養がある食材といえます。ただし、脂溶性ビタミンであるビタミンAも含まれているため、食べすぎると頭痛などを引き起こす過剰症の問題もあり、注意が必要です。
なお、「うなぎと梅干しは食べ合わせがよくない」と聞いたことのある方は多いかと思いますが、実は医学的根拠はありません。ただし、梅干しは胃酸を分泌させて食欲を増進させるため、贅沢(ぜいたく)なうなぎをたくさん食べないように、いましめとして伝えられたという説もあります。
うなぎは高齢者の栄養補給にも
うなぎには高齢者(※)に不足しがちな、カルシウムや鉄や亜鉛・ビタミンA・ビタミンB1・DHA・EPAといった栄養素を含んでいる食べ物です。
(※)WHO(世界保健機構)の定義では、65歳以上の人を指します。
さらに年齢を重ねると、若い時に比べて食事量が減る上にメニューもかたよることが多いため、たんぱく質やビタミンやミネラルが不足する傾向にあります。とくに肉や魚、卵などのたんぱく質を摂る機会が少なくなると、栄養の状態が低くなる可能性もあるのです。
そこで、上記でご紹介した栄養素が含まれるうなぎは、高齢者の栄養補給におすすめしたい食材といえます。
毎日食べるとどうなるのか
結論から申し上げますと、うなぎを毎日食べるのはあまり体に良くありません。なぜなら繰り返しになりますが、うなぎにはビタミンAが豊富に含まれており過剰症の問題も出てくるからです。
栄養豊富なうなぎですが、毎日食べるのは控えた方がよいでしょう。
まとめ
以上、うなぎにはDHAやEPA・ビタミンAやカルシウムなどの、栄養素を豊富に含む食材であるとわかりましたね。そして、市販のうなぎのかば焼きを約1/3パック(約50g)食べると、1日に必要なビタミンAをほぼ満たすことができるのもポイントです。
しかし、脂溶性ビタミンであるビタミンAには過剰症の問題もあるため、うなぎを毎日食べるのは控えた方がよいでしょう。なお、うなぎのビタミンやミネラル、たんぱく質は、高齢者の栄養補給にもおすすめです。
それでは今回の記事をきっかけに、栄養豊富なうなぎをうまく摂り入れていただけると嬉しいです。
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参考文献
日本食品標準成分表 2020年度版(八訂)
カロリーSlism TOP
農林水産省 うちの郷土料理 うなぎ豆腐 島根県 特集1 だから、お魚を食べよう!(1) 脂質による健康影響 特集2 鰻(1)
総務省統計局 土用の丑の日と「うなぎのかば焼き」
独立行政法人福祉医療機構 第17回 うなぎの炊き込みごはん
J-Stage 講座 うなぎ
厚生労働省 e-ヘルスネット
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
身体によい脂肪酸とは:トランス脂肪酸とω(オメガ)脂肪酸の役割
厚生労働省 脂質 高齢者がよりよく生きるための日本人の食事を考える