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その痛みは糖尿病性神経障害の可能性 ~治療から予防までわかりやすく解説~

その痛みは糖尿病性神経障害の可能性 ~治療から予防までわかりやすく解説~

「客先に行くにも体が痛くて動きづらい」
「このまましびれを抱えた生活を送るのかな・・・」

お仕事やこれから先の生活を考えた時、痛みやしびれが少しでもない生活の方が良いとは思いませんか?

そのために本記事では、糖尿病合併症の一つである『糖尿病性神経障害』をわかりやすく説明していきます。

糖尿病性神経障害とは

人間の神経には、『中枢神経』と『末梢神経』があります。中枢神経は脳や脊髄に関係している神経で、末梢神経は手や足・皮膚に広がっている神経です。

糖尿病性神経障害は、主に末梢神経が障害を受けることです。

ちなみに、末梢神経には以下のとおり大きく3つの役割があります。

糖尿病性神経障害_末梢神経の役割

糖尿病性神経障害の症状

神経障害には様々な症状があります。その一例を挙げてみます。

糖尿病性神経障害_主な症状

 

たくさんある糖尿病性神経障害の症状ですが、比較的、初期段階に現れる症状もお伝えしておきます。

① 足の先がしびれたような不快な感じがする
② 足が冷える、または熱くなる
③ 手や足の感覚が鈍る
④ 足の裏に紙が張り付いている感じがする
⑤ 皮膚に虫が這っているような感じがする
⑥ 座骨神経痛、腕や手の神経痛、肋間神経痛などが起こる
⑦ 安静にしているとき、寝ているときに足がつる


糖尿病の方でこのような症状が起きたら、注意してみてください。

糖尿病性神経障害で見られる症状の例

神経障害は治らない?

神経障害は完全に治すことは難しいです。

仕事や日常生活にも影響を与えるので、重症になる前に適切な治療を受けることが大切です。

糖尿病性神経障害になる原因

糖尿病になると、血液に含まれるブドウ糖が多くなります。

ブドウ糖は神経細胞が受けた刺激を伝える、軸索というものを構成する細胞(シュワン細胞)に入ると、アルドース還元酵素の力でソルビトールというものに変化します。

ソルビトールは脱水素酵素の力で果糖になるのですが、血糖が高い場合、ソルビトールがたくさん作られて細胞に溜まってしまいます。

その結果、血流や神経細胞の機能が低下することなどによって、細胞の働きが失われ神経障害が起こってしまうのです。

その他に、血糖値が高くなることで血液が糖分と混ざり、ドロドロになることで血の塊ができ、毛細血管などの血流が悪くなり、栄養や酸素が神経細胞に行き渡らくなることも神経障害の原因として指摘されています。

糖尿病性神経障害の予防法

糖尿病性神経障害の予防法

予防法として最も効果的なのは血糖値をコントロールすることです。適切な食事療法・運動療法・薬物療法で、糖尿病を良くすることが大切です。

また、禁酒・禁煙も予防に効果がありますし、高血圧・脂質異常を避けることも大切だと言われています。

参考記事:糖尿病と高血圧の関連性~症状と対策をわかりやすく解説~
参考記事:糖尿病と飲酒の関係~アルコールの影響や飲み過ぎないための秘訣を紹介~

糖尿病性神経障害にかかったら〜治療法〜

糖尿病性神経障害は、問診だけで診断できることもあれば、他の病気と区別ができないこともあります。そんな時は、様々な検査を行います。

糖尿病性神経障害_検査の名称と内容

 

治療は以下、①〜④のとおり対症療法と進行予防が中心です。

①血糖コントロールと生活習慣の改善
軽度の糖尿病性神経障害の時は、これだけで症状が改善することがあります。

②痛みのコントロール
軽度の痛みに対しては、非ステロイド性の消炎鎮痛剤を使用します。

中程度以上の痛みに対しては、三環系抗うつ薬・プレガバリン(商品名:リリカ)・デュロキセチン(商品名:サインバルタ)などを使用します。

中程度以下で発症から日が浅い方は、アルドース還元酵素阻害薬(エパルレスタット、商品名:キネダック)という薬で痛みの進行が抑えられると言われています。

その他、漢方である芍薬甘草湯などが用いられることもあります。

③代謝の改善
アルドース還元酵素阻害薬や、ビタミンB12製剤が用いられます。

④自律神経障害に対しての治療
自律神経障害の一つである起立性低血圧は、急に立ち上がったりなど体の動きで血圧が下がりやすいため、ゆっくり動くように心がけることが大切です。

消化管の動きが鈍い場合は、少量・頻回の食事にするようにしたり、脂肪や繊維の多い食べ物を控えたりします。医師の指導のもと、消化運動を促進するために、便秘や下痢に対して薬を使うこともあります。

そして排尿障害や勃起障害に対しては、症状を緩和する薬を使うことがあります。

その他に自律神経障害の一つである無自覚性低血糖に対しては、低血糖が起きやすいタイミングを確認し、適切な間食を取り入れるなどして、低血糖を避ける工夫をすることが大切です。

起こるかもしれない、糖尿病足病変

糖尿病と神経障害に起因する足病変

糖尿病足病変は血流障害や免疫の低下、そして糖尿病性神経障害による足の感覚の鈍化から発生すると言われています。糖尿病足病変になると、足の変形、潰瘍、壊疽などが見られます。

皆さんの大切な足を守るため、やっぱり大事なのは血糖コントロールです。そしてもう一つ、見逃しがちなのがフットケアの重要性

ということで当記事ではフットケアの方法もお伝えしておきますね。

①毎日足を観察する
大事なのは、「早期発見・早期治療」です。毎日足を確認すること、特に運動後や長時間歩いたあとは足に異変がないか気にすることが大切になります。

見えにくいところは、鏡を使ったり家族の方に確認してもらったりするのがオススメです。

②足の清潔を保つ
糖尿病による免疫低下は感染症につながることも。

そこで感染を防ぐため、足を清潔を保つことが大切です。石鹸を泡立てて優しく洗うこと、指の間まで忘れず洗うこと、洗った後はこすらずに水気をよく拭き取ることを意識するようにしましょう。

③爪は切り過ぎないようにする
深爪には注意してほしいです。巻き爪の方は、長めにまっすぐ切るようにしてみてください。

④自分にあった靴を履くようにする
つま先に1cmほど余裕のある足の形にあった靴がオススメです。革が柔らかく内部に硬い縫い目のないものや、クッション性があって靴底が安定しているものが良いでしょう。

また、人によっては運動をするときなどは足首が固定される紐や、マジックテープがついているものが合うかもしれません。

⑤素足を避ける、靴下を履く
感染症防止のため、傷から足を守ることが大切です。靴下を履くことは、足の保護・水虫の予防になります。

吸収性の良い綿素材のもの、内側の縫い目がゴツゴツしていないもの、きつすぎないもの、水虫予防のため5本指のもの、などもよいでしょう。

また、靴下の重ね履きは血行を妨げてしまうこともあるので注意が必要です。

⑥やけどに注意する
湯たんぽや電気ヒーターによる低温やけどは、皮膚からの感染をもたらす可能性があります。

また、意外に気を付けてほしいのは、バスや電車の温風吹き出し口。あと夏の炎天下では、素足で砂浜やプールサイドを歩くとやけどをする場合があるので要注意です。

⑦傷の自己処理は要注意
足に傷を作ってしまった時の自己処置は危険です。例えば、自分でウオノメ・タコを削ったり、市販薬を使ったりすることは避けてください。

そして傷はきれいに洗って清潔なガーゼや絆創膏を貼ること、赤み・熱感・腫れ・膿が出たら医療機関を受診することが大切です。

参考記事:糖尿病足病変とは?原因と治療のポイントを3分で解説

神経障害では何科を受診すべき?

糖尿病に起因する神経障害は何科?

ここまで読んでいただいて、糖尿病性神経障害には様々な症状があることを知っていただけたと思います。

こんなに症状がたくさんあると、何科を受診すれば良いの?と思いませんか?例えば、明らかに水虫ができていて皮膚科を受診するというのであれば、それは構わないと思います。

ただ、『これってもしかして糖尿病性神経障害かも』と思うことがあれば、まずはかかりつけの糖尿病内科の先生に相談してみるのも良いかもしれません。

必要に応じて検査をしたり適切な医療機関を紹介したりしてくれると思いますよ。

まとめ

私たちの仕事や日々の生活に直結してくる糖尿病性神経障害。

症状から治療・予防法まで解説させていただきましたが、当記事があなたのお役に立てれば幸いです。

少しでも毎日の生活が快適に過ごせるように、できるだけ糖尿病性神経障害を起こさない・悪化させない生活を意識してみませんか?

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や血圧の記録がカンタンにできます。日々の血糖管理や合併症予防でぜひ活用してみてくださいね。
シンクヘルスの紹介

参考文献
一般社団法人日本臨床内科医会,わかりやすい病気のはなしシリーズ1 糖尿病性神経障害,(参照2020年9月15日)
医療情報科学研究所編(2016),病気がみえるvol.3 糖尿病・代謝・内分泌 第4版, P79-82
国立国際医療研究センター糖尿病情報センター(2015),フットケア,(参照2020年9月16日)
国立国際医療研究センター糖尿病センター(2018),神経障害(参照2020年9月15日)
公益社団法人長寿科学振興財団(2019),健康長寿ネット 糖尿病性神経障害,(参照2020年9月15日)

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