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コーヒーが糖尿病を予防するってホント?~目安量や注意点を解説~

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糖尿病患者さんはコーヒーを飲んでも大丈夫?

当記事の執筆は、管理栄養士  白石香代子が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

仕事に集中したい時、眠気を覚ましたい時、カフェで友達とおしゃべりする時、リラックスしたい時…などなど。様々なシーンでコーヒーを飲む時間は訪れるものです。

最近では「コーヒーが糖尿病を予防する」という研究結果もあるようですよ。しかし、糖尿病の方がコーヒーを飲む際は気を付けなければいけないポイントがいくつかあります。

そこで今回はコーヒーと血糖値の関係・効果や飲む際に気を付けたい点についてお届けします。

最後までお読みいただければと思います。

それでは、まいりましょう。

コーヒーのリラックス効果が糖尿病を予防する

コーヒーのリラックス効果が糖尿病を予防する

2009年に国立国際医療研究センターの研究者が、「コーヒーのストレス緩和効果が糖尿病発症のリスクを低下させる」という研究結果を発表しました。

40〜60歳の日本人男女、約5万6,000人を10年間追跡した調査結果によると、コーヒーを飲む人はほとんど飲まない人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが低下すると報告されています。

例えばコーヒーを飲む回数が1日3〜4杯の場合、2型糖尿病の発症リスクは男性で17%、女性で38%低下するとのことです。

糖尿病発症の原因の一つに「ストレス」がありますが、コーヒーのリラックス効果によりストレスが緩和されるからではないか、と考えられています。

コーヒーの成分で血糖値は上がるのか

コーヒーに糖尿病の発症リスク減少が期待できる一方で、コーヒーに含まれるカフェインにより、血糖コントロールが乱れる可能性があります。

なぜなら、コーヒーのカフェインはインスリンを効きにくくし(インスリン抵抗性)、血糖値を上げやすくしてしまうものだからです。

カフェインには中枢神経(感覚や意思、反射や呼吸などをコントロールする神経)を刺激する作用があります。中枢神経が刺激を受けると、腎臓の近くにある副腎の髄質から血糖値を上げるホルモン「アドレナリン」が分泌されてしまうのです。

血液中の血糖値が慢性的に高くなっている状態(糖尿病)にアドレナリンの作用が加わると、血糖値はさらに上昇します。

そして1日に何杯もコーヒーを飲むと、一時的な血糖値の上昇が何度も起こることになります。血糖値の上昇を繰り返すことで血管への負担が大きくなり、合併症のリスクが高まってしまうのです。

つまり血糖値に与えるコーヒーの影響とは、

コーヒーを飲む→カフェインにより血糖値をあげる「アドレナリン」が分泌
  ↓
血糖値が一時的に上昇
  ↓
何回も繰り返すと血糖コントロールが乱れる

 
という流れにより、合併症のリスクが高くなることなのです。

なぜ「糖尿病にコーヒーはダメ」といわれているの?

たしかにカフェインは血糖値を上昇させる可能性もありますが、糖尿病の方がコーヒー飲むこと自体ダメなわけではありません。 

ダメと言われる原因は、市販のコーヒーに砂糖が多く使われているからです。とくに、自動販売機で手軽に買える缶コーヒーは、種類によって多くの砂糖を含みます。

甘くてまろやかなコーヒーは美味しいかもしれませんが、カフェインと砂糖が血糖値の急激な上昇を引き起こします。すると血糖コントロールが乱れ、血管が傷つきやすくなり、合併症のリスクに繋がってしまうのです。 

糖尿病の治療では、血糖コントロールを良好に保つ必要があります。甘いコーヒーは控えましょう。

血糖値に配慮したコーヒーの飲み方

1日の杯数やカフェインレスコーヒーについてなど、糖尿病と付き合いながらコーヒーを上手に楽しむための、効果的な方法をご紹介しましょう。

カフェインレスがオススメ

カフェインレスコーヒーとは、カフェインの含有量が少ないコーヒーのことを言います。

日本ではカフェインレスの基準値はありませんが、カフェインの含有量を0.1%までカットしたものもあります。

コーヒーを飲むことで分泌される「アドレナリン(血糖値を上げるホルモン)」は、カフェインの影響です。
カフェインレスのコーヒーなら、アドレナリンの分泌を抑えることができますので、安心して飲むことが出来ます。

最近はカフェインレスのインスタントコーヒーも多く販売されています。自宅でもオフィスでも気軽に楽しめるのがインスタントコーヒーの利点です。早速、試してみてはいかがでしょう。

1日に飲む量は2杯程度が目安

糖尿病患者さんのカフェイン1日あたりの摂取量は定められていませんが、国際機関などから下記の呼びかけが行われています。

コーヒーと糖尿病の1日あたりのカフェイン摂取量

コーヒー以外の紅茶やお茶にもカフェインは含まれていますので、1日に飲むコーヒーは2杯程度が良いでしょう。

砂糖は「ゼロ」牛乳は「お好みで」

まず、砂糖の糖分は血糖値を大幅にあげる要因になりますので、極力入れずに飲むことをお勧めします。
無糖にしましょう。

そして牛乳を入れる場合は、1日の乳製品の目安量に合わせるようにします。

糖尿病患者に推奨する1日の牛乳と乳製品の目安量

例えば朝食時、ヨーグルト1個(80g)を食べた日にコーヒーを2杯飲む場合、普通牛乳の配分は1杯あたり約50mlとなります。

【注意】コーヒーにまつわる落とし穴

普段コーヒーを飲む際、何気なく行っていることが実は体に良くないかもしれません。今回は、コーヒーフレッシュ、服薬、コーヒーゼリーの3点からお伝えします。

コーヒーフレッシュの正体は「油」

コーヒーフレッシュの正体は「油」

実はコーヒーフレッシュを構成している主な成分は、植物性油脂です。植物性油脂と水に乳化剤を加え、着色料や香料などで調合したものが、私たちが目にしているコーヒーフレッシュなのです。

見た目から、あの中身は生クリームや濃厚牛乳だと思っている方も多くいらっしゃいますよね。しかし正体は「油」であり乳製品ではありません。

大げさかもしれませんが、コーヒーフレッシュを入れて飲むことは、コーヒーに油を入れているようなものとも言えます。

つまりカルシウムの供給にはならないので、コーヒー1杯の中にたくさんのミルクを入れるのはやめましょう

薬と一緒に飲んではダメ

コーヒーで薬を飲むと、カフェインの影響で薬の効きが強くなりすぎたり、逆に弱くなったりするものがあります。

医師は安全で効果的な治療のために、最適な薬の量で処方しています。薬にカフェインの影響を与えることのないよう、服薬は水か白湯(さゆ)で行ってください。

参考記事:糖尿病に効果のある飲み物は?水から身近なジュースまでわかりやすく解説

コーヒーゼリーは、成分表示をチェック

コーヒーゼリー

市販のコーヒーゼリーはプリンなど他のスイーツに比べると、比較的低カロリーです。しかし1個あたり、糖質11〜24g程度含んだものが目立ちます。

血糖値は、食品に含まれる糖質量が多ければ多いほど上昇します。

間食で取り入れる糖質は10gが適量です。購入する際には商品の裏の成分表示をチェックし、できるだけ低糖質なものを選ぶようにしましょう。

まとめ

糖尿病とコーヒーまとめ

糖尿病患者さんがコーヒーを飲むと、カフェインの影響で血糖値が上がり、合併症のリスクが高まることが分かりましたね。

糖尿病と上手に付き合いながらコーヒーを楽しむために、1日に飲むコーヒーは2杯程度で無糖にすることをお勧めします。

また、カフェインレスのコーヒーに替えると安心してコーヒーを飲むことが出来ますので、試してみるのも良いでしょう。

今回は、糖尿病とコーヒーについてご紹介しました。

当記事を参考に、毎日のコーヒーを楽しんでいただけると嬉しいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や食事の記録がカンタンにできます。飲み物など日々の食事管理でぜひ活用してみてくださいね。
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参考文献
国立研究開発法人 国立がん研究センター  コーヒーと糖尿病の関連について
MASAYUKI KATO et al.(2009).Psychological Factors,Coffee and Risk of Diabetes Mellitus among Middle-Aged Japanese:a Population-Based Plospective Study in the JPHC Study Cohort.56(3).p459-468
全日本コーヒー協会 コーヒー図書館 ポリフェノール(クロロゲン酸類)
厚生労働省 e-ヘルスネット 
農林水産省 カフェインの過剰摂取について
独立行政法人 農畜産業振興機構 食と文化 コーヒーの話

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