春菊の栄養と効能~健康効果や生食、香りについてもわかりやすく解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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春菊といえば、すき焼きなどの鍋料理によく使う食材ですよね。
加熱して食べることの多い春菊ですが、実はえぐみが少なく生で食べられるものもあります。
そんな春菊は、ビタミンやミネラルなどの栄養が豊富です。
そこで今回は、調理のバリエーションが豊かな春菊の栄養と効能についてご紹介します。
オススメの食べ方やほかの食材との食べ合わせについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
春菊の栄養素と効能
春菊は独特な香りが特徴的なキク科の葉物野菜で、健康と美容に関わる栄養素を含んでいます。
では、それぞれの栄養素がどのような働きをするのか見ていきましょう。
生活習慣病予防にオススメのβカロテン
βカロテンは、色素の一種で強い抗酸化作用を持っています。
抗酸化作用とは、活性酸素から体を守る働きのことです。
ちなみに活性酸素は免疫機能や感染防御の役割を持っているため、正常な量であれば私たちの体に有益な物質です。
しかし必要以上に蓄積されると、細胞を傷つけて老化を進めたり生活習慣病を引き起こしたりする可能性があります。
本来、私たちの体には活性酸素を減らす酵素が存在しますが、年齢とともに減少します。
そこで、春菊などβカロテンを豊富に含む野菜や果物を食べ、活性酸素から体を守る必要があるのです。
カルシウムの沈着に役立つビタミンK
ビタミンKはカルシウムを骨に沈着させる働きがあり、丈夫な骨を作るうえで欠かせない栄養素です。
そのため、骨粗しょう症の治療薬にも使われます。
またビタミンKは、油と相性がよいです。
そのため春菊のようにビタミンKを含む食材は、油を使って調理すると効率よく栄養を吸収できます。
美肌作りに欠かせないビタミンC
ビタミンCは、美容と健康の両方に働きかけます。
ハリのある肌を保つためには、コラーゲンが欠かせません。ビタミンCは、コラーゲンを作る時に必要な栄養素なのです。
また、シミが増えると肌がくすんで見えますよね。ビタミンCにはシミの原因となるメラニン色素の生成を抑えて、日焼けを防ぐ作用もあります。
さらに、抵抗力を強めてストレスや風邪に負けない体づくりにもビタミンCは役立ちます。
春菊を食べてビタミンCを摂れば美肌を目指せるだけでなく、健康な体づくりにも役立つのがうれしいですね。
むくみ解消にカリウム
カリウムは体内の余分な塩分を水分と一緒に排出して、むくみを解消します。
春菊にもカリウムが含まれますが、調理法によっては効率よく摂取できない可能性もあります。
なぜなら、カリウムは水に溶けやすい特徴があるからです。
茹でたり煮たりして食べることの多い春菊は、カリウムが茹で汁に流れ出てしまいがちです。
そのようなときには、茹でる時間を短くしたり煮汁ごと食べることで、カリウムの損失を最小限にできますよ。
骨粗しょう症予防になるカルシウム
カルシウムは骨や歯の構成成分で、丈夫な体づくりを助けます。
カルシウムの代表的な食材といえば牛乳ですが、実は春菊のような葉物野菜にも含まれているのです。
そもそも骨の量は20代がピークとなり、その後加齢とともに減少します。
また女性は閉経による女性ホルモンの減少とともに、骨粗しょう症のリスクが上がります。
骨粗しょう症予防のためにも、牛乳などの乳製品に加え、春菊を使ったメニューを普段の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?
参考記事:牛乳の栄養を徹底解説~メリット・デメリットまで詳しくお伝えします~
貧血を予防する鉄
鉄は、体に取り込まれるとヘモグロビンに変換され、酸素を運ぶ働きを担います。
鉄が不足すると酸素が十分に運ばれないため、めまいやふらつきといった症状がでます。これが「貧血」です。
この貧血を予防するには、春菊など鉄が含まれている食材を食べればよいと思われがちです。
しかし春菊など野菜類に含まれる鉄は、体に吸収されにくい非ヘム鉄という状態で存在します。
非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ることで、体に吸収しやすくなります。
つまり、野菜に含まれる鉄はビタミンCと一緒に食べた方がよいのです。
すでにお伝えしているように、春菊にもビタミンCは含まれます。
しかしより効率的に鉄を吸収するためには、ビタミンCの多い食材と春菊を組み合わせるのがオススメです。
生食向き春菊の栄養
生食向き春菊のメリットは、カリウムとビタミンCを損なわずに食べられることです。
カリウムとビタミンCは水に溶けやすい性質を持っているので、茹でると量が減ってしまいます。
さらにビタミンCは熱に弱いため、加熱の影響でも量が減ります。
生の春菊は独特な香りとえぐみがあるため、鍋に入れたりお浸しにしたりと加熱して食べることが多いです。
そこで、最近では生でもおいしく食べられる「サラダ春菊」という新品種が開発されました。
ほかにもおたふく春菊とも呼ばれる大葉や、スティック春菊などの品種は生食に適しています。
春菊の栄養を効果よく摂る方法
春菊の栄養を効率よく摂るには、油やビタミンCと一緒に食べるとよいでしょう。
お伝えしているように、春菊に含まれるビタミンKは油との相性がよく、一緒に摂ると体への吸収率が上がるからです。
さらにβカロテンも、ビタミンKと同様に油との相性がよいです。
また春菊の鉄分は体に吸収されやすくなるよう、ビタミンCと一緒に摂るのがオススメとお伝えしました。
「油とビタミンC」2つのポイントを兼ね添えたレシピを後ほど紹介しますので、参考にしてくださいね。
食べ合わせの悪い食材はあるのか
春菊と食べ合わせが悪い食材として、緑茶があります。
なぜなら、緑茶に含まれるタンニンが鉄の吸収を阻害してしまうからです。
ゆえに鉄の補給を期待して春菊を食べるときには、時間を空けてから緑茶を飲むとよいですね。
また、緑茶に含まれるカフェインにはカルシウムの排出量を増やす作用があります。
ただしカフェインを摂ることによるカルシウムの減少量はわずかであるため、過度に心配する必要はないでしょう。
春菊の食べすぎは体に悪い?
春菊を食べすぎると、便が硬くなるなど便秘が悪化する可能性もあります。
なぜなら、春菊には食物繊維が豊富に含まれているからです。
なお食物繊維は、性質によって水溶性と不溶性にわけられます。
・不溶性食物繊維:水を含むと膨らみ、腸内を刺激することで便通を促し便秘を解消する
春菊には、2種類の食物繊維がどちらも含まれています。
したがって水分不足のまま大量に食物繊維を摂ってしまうと、便が固くなり排便しづらくなってしまうのです。
そのため春菊のように食物繊維を豊富に含んでいる食材は、1度にたくさん食べるのではなく小鉢1杯くらいの量を目安に食べるとよいですよ。
その際には水分補給も忘れずに行いましょう。
妊娠中に食べてもよいのか
春菊は、妊娠中も積極的に摂りたい野菜の1つです。
なぜなら、春菊には胎児の発育に深く関わっている葉酸が含まれるからです。
参考までに、妊娠初期には食事から葉酸を240μ摂取することが推奨されています。
茹でた春菊1人前(約60g)には60μgの葉酸が含まれており、推奨量の1/4の量を補えます。
ほかにも春菊は妊娠中に必要な鉄分やカルシウムを含んでいるため、積極的に食べていただきたい食材です。
【番外編】春菊の香りも健康によい!?
春菊独特の香りにも、体の調子を整える働きがあります。
これは、葉や茎に含まれる精油成分によるものです。
主な作用は胃腸の働きを促進することで、食欲増進や胃もたれ解消につながります。
ほかにも春菊の香りには自律神経を整え、イライラを鎮める効果も期待されています。
このような健康効果が期待される春菊は、ストレスの多い方にもオススメの野菜です。
春菊を使った簡単レシピ
見た目にもおいしいレシピ「春菊のミモザサラダ」をご紹介します。
春菊の栄養を逃さず効率よく摂るための「生食、油やビタミンCと一緒に食べる」を踏まえたレシピになっています。
・サラダ春菊 2株
・パプリカ 1/8個
・ゆで卵 1個
・ベーコン 1枚
(ドレッシング)
・オリーブオイル 小さじ2
・酢 小さじ2
・塩・こしょう 少々
【作り方】
①サラダ春菊とパプリカを食べやすい大きさに切る
②ゆで卵を黄身と白身に分けて、黄身は裏ごし、白身は細かく刻む
③ベーコンを細切りし、フライパンでカリカリになるまで炒める
④ドレッシングの材料をすべてボールに入れてよく混ぜる
⑤お皿に切ったサラダ春菊とパプリカを盛り、その上に刻んだ白身、裏ごした黄身をのせる
⑥炒めたベーコンも盛り付け、ドレッシングをかけたらできあがり
くせの少ないサラダ春菊を使うことで、生でもおいしく食べられるレシピです。
また、ビタミンCを含むパプリカを合わせることで、鉄分の吸収率も上がります。
春らしいサラダで、食卓が一気に華やかになりますよ。
参考記事:パプリカはビタミンが豊富!~管理栄養士おすすめ美肌レシピもご紹介~
参考記事:ゆで卵の栄養はすごい!~体に良い理由を徹底解説~
参考記事:オリーブオイルのカロリーは高い?〜ダイエット効果や糖質オフレシピも紹介〜
まとめ
春菊はβカロテンやビタミンCといったビタミン、カリウムやカルシウムなどのミネラルが含まれ、健康と美容によい食材です。
これらの栄養素を逃さず摂るのであれば、生で食べるのが一番です。
さらに、春菊を油やビタミンCと一緒に摂ることで、より効率よく栄養素を吸収できます。
逆に緑茶のようなタンニンを含む食材は、鉄分の吸収を妨げてしまうので時間を空けて楽しんだ方がよいでしょう。
生でも食べやすい新品種のサラダ春菊を使ったレシピも、ぜひ一度作ってみて下さいね。
それでは栄養豊富な春菊を献立に取り入れて、元気な毎日をお過ごしください。
なお弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
【参考文献】
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット カルシウム
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
国立健康・栄養研究所 食生活の10のポイント
JA全農 直売所向け野菜品種の紹介 しゅんぎく・レタス・ツケナ類・その他編
独立行政法人農畜産業振興機構 今月の野菜しゅんぎく