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玄米は理想的な健康食?~管理栄養士が栄養成分と効能効果を解説します~

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玄米は理想的な健康食?~管理栄養士が栄養成分と効能効果を解説します~

当記事の執筆は、管理栄養士  前間弘美が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

近年、健康志向の高まりから、玄米が見直されて脚光を浴びるようになりました。

その影響から、スーパーやコンビニでも玄米を使用した商品をよく見かけたり、飲食店では白米を玄米に置き換えられるサービスも増えています。

一方で、玄米は体に良くないなどのマイナスなイメージが聞かれることもありますが、実際はどうなのでしょうか。

そこで今回は、玄米の栄養成分と効能効果について解説します。玄米の効果的な食べ方も載せましたので、最後までお付き合いください。

玄米の栄養成分と効能効果

玄米の栄養成分と効能効果
栄養素の説明をすると共に、まずは精白米に含まれる量との比較も載せましたのでさっそく見ていきましょう。

※日本食品標準成分表2020版(八訂)を参考に作成
※可食部100gあたり、炊飯前の数値を使用

表の通り、主要な栄養素において玄米のほうがはるかに量が多いのがわかります。

糖の代謝をサポートするビタミンB1

ビタミンB1は、糖を分解してエネルギーにする際に必要な栄養素です。

そのため糖質をよく摂る人や、運動によりエネルギー代謝が多い人は、ビタミンB1の必要量が増えます

一方で、ビタミンB1が不足するとエネルギーが作れなくなり、疲労感やだるさが現れたり脳や神経に障害が起きることもあります。

とくにインスタント食品中心など偏った食生活を送る人は、ビタミンB1の摂取不足になりやすいため注意が必要です。

ビタミンB1不足を予防するために、コンビニやスーパーでも手軽に手に入る、玄米おむすびなどを食事に取り入れるのもおすすめですよ。

アミノ酸の働きをサポートするビタミンB6

ビタミンB6は体内でアミノ酸の働きをサポートし、たんぱく質の分解を助ける働きがあります。

そのためたんぱく質をたくさん摂取する人は、ビタミンB6の必要量も多くなります。

さらにビタミンB6は免疫機能の維持、皮膚の抵抗力の増進、血液中のヘモグロビン(※)の合成など、様々な働きをサポートしています。
(※)ヘモグロビンは赤血球に含まれる酸素の運搬係

一方で、ビタミンB6が不足すると口角炎や貧血や免疫力低下などの症状が現れます。

参考までに炊いた玄米茶碗1杯分(150g)で、成人男性1日の必要量の1/4を摂ることができます。魚や肉などたんぱく質を多く含む食事をする方は、主食を玄米にすることでビタミンB6を補えるのでオススメですよ。

骨や歯を作るマグネシウム

マグネシウムはミネラルの一種で、カルシウムなどと共に骨や歯を作ったり、体内で様々な代謝をサポートする働きがあります。

不足すると骨粗しょう症や心疾患や高血圧などを引き起こしたり、精神障害の症状が現れることも。

玄米は骨粗しょう症の予防食材でもあるので、日々の食事に取り入れて健康な骨づくりに役立てたいですね。

貧血を予防する鉄分

鉄分は血液内で赤血球の一部となり、全身に酸素を届ける働きがあります。

そのため、鉄分が不足すると鉄欠乏性貧血になり、全身に酸素が行き届かず、頭痛、動機、倦怠感などの症状が出ることも。

鉄分は、とくに月経のある女性や成長期の子どもにとって不足しがちな栄養素なので、積極的に摂りたい栄養素です。

さて、鉄分は体に吸収されやすい「ヘム鉄」と、吸収されにくい「非ヘム鉄」に分けられます。

「ヘム鉄」は肉類などの動物性食品に、「非ヘム鉄」は植物性食品に含まれており、玄米に含まれるのは吸収されにくい「非ヘム鉄」です。

しかし「非ヘム鉄」は、タンパク質やビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がります。

そこで、肉や魚や卵といったタンパク質を多く含む食品や、野菜や果物といったビタミンCを含む食品と一緒に摂りましょう。

お通じ改善効果のある食物繊維

食物繊維は消化吸収されないため、人間にとってエネルギー源にはなりませんが、健康な体を保つための重要な成分です。

食物繊維は水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維にわけられます。

不溶性食物繊維には、水分を吸収して便のカサを増やす働きがあります。さらには、有害物質を吸着して便と一緒に排出し腸内をきれいにしてくれる効果も。

一方で水溶性食物繊維には、食後の血糖値上昇をゆるやかにする、血中コレステロール値を低下させる、高血圧を予防するなどの働きがあります。

玄米には、水溶性と不溶性両方の食物繊維が含まれています。とくに不溶性が豊富なので、お通じ改善効果が期待できるでしょう。

発芽玄米とは

発芽玄米とは
発芽玄米とは、文字通り玄米を発芽させたものです。

一見すると、普通の玄米との違いは発芽の有無だけですが、発芽させる前の状態よりも食物繊維量が増えています。

さらには、血圧降下作用やストレス緩和にも効果があるといわれている注目食材です。

また玄米は硬い皮に包まれていますが、発芽玄米は発芽することにより外皮が柔らかく食べやすい点も特徴です。

なお市販の発芽玄米もありますが、玄米を水に浸けておくだけで発芽するのでかんたんに作ることができますよ。

関連記事:玄米&白米の糖質とカロリー~比較しながらポイント解説~

玄米は完璧?足りない栄養成分

卵と並んで「完全栄養食」の代名詞がついている玄米ですが、不足している栄養素もあるので見ていきましょう。

関連記事:やはり卵は最強食品!~栄養成分と効能効果を管理栄養士が解説~

ビタミンCはどのくらい入ってる?

残念ながら、玄米にはビタミンCはほとんど含まれていません。

ビタミンCは、人の体で作ることも貯めておくこともできない栄養素なので、毎日食事から摂る必要があります。

最近ではビタミンCの抗酸化作用が注目され、老化防止や動脈硬化の予防に効果がある、とも言われています。

一方で不足すると血管がもろくなったり、病気に対する抵抗力が低下する恐れも。

ビタミンCは野菜やいも類、果物に豊富に含まれているので、適度に取り入れてバランスのよい食事を心がけましょう。

関連記事:栄養がないって本当?じゃがいもの栄養成分と効果効能をポイント解説

玄米だけを食べてもカルシウム不足になる?

答えはYESです。

玄米ごはん100g(お茶碗に軽く1杯)に含まれるカルシウムは僅か7mgです。

参考までに、カルシウムの宝庫と言われている木綿豆腐100g(約1/3丁)には、93mgも含まれています。玄米に含まれるカルシウムが、いかに少ないかおわかりいただけるでしょう。

ちなみに、成人男性の1日のカルシウム推奨量は750mgとされているので、玄米のみでこの数値をクリアするのはとても困難です。

玄米を食べるときは、おかずとしてカルシウムが豊富な乳製品や大豆製品を一緒に摂るとよいでしょう。

玄米を食べ続けるとどうなるのか

玄米を食べ続けるとどうなるのか
玄米を食生活に取り入れたいが、「体によくない」という噂が不安という方もいますよね。

ここで、玄米の正しい知識を取り入れて不安を解消しましょう。

玄米は肝臓や胃腸に悪いって本当?

現在のところ、玄米が肝臓に悪影響を与える、という著明な研究発表は見当たりません。

しかしながら玄米は、炊き方や食べ方を間違えると胃腸に負担が掛かるという側面があります。その原因は玄米の外皮にあります。

外皮には食物繊維の多い点がメリットですが、やわらかく炊けなかった場合やよく噛まずに食べると、消化不良を引き起こし腹痛の原因となります。

玄米の栄養効果を存分に活かすためには、水分をしっかり含ませて炊き、食べる際は甘味が出るまでしっかりと噛みましょう。

玄米が栄養失調の原因になるのか

答えはNOです。

なぜなら、玄米には体にとって必要な栄養素が豊富に含まれているからです。

ただし玄米に限ったことではないですが、特定の食品だけを長期間摂り続けると、その食品から得られない栄養素については不足します。

そのため、玄米だけでなく肉、魚、乳製品、野菜などを含めたバランスのよい食生活を心がけることが重要です。

つまり、玄米は正しく食べれば健康増進に効果的な食品です。

玄米の効果的な食べ方

玄米の効果的な食べ方
ポイント1:発芽玄米を使う

くり返しになりますが、普通の玄米よりも発芽玄米のほうが栄養価が高いです。

また、玄米のハードルが高くなる要因の1つとして「食感の硬さ」があります。その点、発芽玄米は柔らかく食べやすいので、玄米をはじめて食べる方にはとくにオススメです。

さらに、発芽玄米には玄米特有の香りがないので、玄米の香りが苦手で食べるのを止めてしまった方にもオススメできます。

わずかな香りも気になる方は、炊き込みご飯やリゾットなどに活用すると、まったく気にならなくなりますよ。
 
ポイント2:良く噛んで食べる

消化不良を起こすと栄養素が充分に吸収されません。玄米の栄養を余すところなく摂るために、よく噛んで食べましょう。

玄米特有のぷちぷちとした食感を楽しみつつ、甘味やうま味を存分に感じるまで噛み続けることがポイントです。

さらによく噛むことで満腹中枢が刺激されるので、食べ過ぎ防止に繋がりダイエット効果も得られますよ。

関連記事:玄米ダイエットのやり方とは~栄養・注意点・レシピをシンプルに紹介~

まとめ

以上、玄米の栄養成分と効果効能について解説しました。

玄米はビタミンB群やマグネシウム、食物繊維、鉄分が豊富だとわかりました。ただし、ビタミンCとカルシウムはほとんど含まれていません。ビタミンCが豊富な野菜類やいも類、カルシウムの宝庫である乳製品から摂取しましょう。

玄米は噛めば噛むほど口の中にうま味が広がる、とても味わい深い食品です。当記事を参考に、ぜひ日々の食事に取り入れてみてくださいね。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。

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【参考文献】
JAグループ とれたて大百科 お米の種類と栄養
公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット
NHK 食物繊維のスーパーパワー「野菜・果物そして〇〇」

 

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