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あさりの栄養がすごい!~適量や食べ過ぎの注意点まで解説します~

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あさりはすごい!殻に閉じ込められた栄養素を大公開します

当記事の執筆は、管理栄養士  前間弘美が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

わたしたち日本人にとって、もっとも親しみのある貝「あさり」。

あさりは石器時代の貝塚から出土するほど、古来から食べられている食材です。江戸時代になると、江戸前に住む庶民にとって、潮干狩りは娯楽だったとも言われています。

さてあさりの魅力は、味が良いことはもちろんのこと、産地によって色合いや模様が異なり、どれ1つとして同じものがないところも挙げられますね。

今回は、あさりの栄養素と効能効果について詳しく解説していきます。後半に簡単なレシピを載せましたので、どうぞ最後までお付き合いください。

あさりの栄養成分と効能効果

あさりの栄養成分と効能効果
あさりにはたんぱく質、鉄分、亜鉛、カリウム、カルシウム、ビタミンB12、タウリンなど、私たちの体に欠かせない栄養成分が含まれています。

では、それぞれどのような働きをするのか見ていきましょう。

体を作る「たんぱく質」

たんぱく質は筋肉や皮膚を作ったり、酵素やホルモンの材料にもなるなど、糖質や脂質と並んで生きていくためには不可欠な栄養素です。そのため、たんぱく質が不足すると筋力が不足するだけでなく、抵抗力が弱くなり病気にかかりやすくなったりします。

あさりの体は90%が水分で出来ていますが、じつは残り10%のうち6割がたんぱく質なのです。

さらに、あさりを含む動物性たんぱく質のほうが、体内での利用効率が良いため「良質」と言われています。

あさりを味噌汁の具として使うと、無理なくたんぱく質を摂取できるので、手間なく使える水煮のあさりを常備しておくと便利ですよ。

貧血を予防する「鉄分」

鉄分の主な役割は、血液中に含まれる赤血球の成分となることです。そのため鉄分が不足すると貧血になります。

鉄分は日本人が不足しやすい栄養素といわれていますが、あさりにはその鉄分が豊富に含まれています。

一方で、あさりに含まれる鉄分は体に吸収されにくいものであることが、最新の研究から明らかになりました。そのため、鉄分を摂りたいならあさりと一緒にビタミンCを含む食材も食べると、鉄分が吸収しやすくなりオススメです。

味覚にかかわる「亜鉛」

亜鉛は発育や生命維持、そして味覚や免疫反応などにも幅広く関わっている重要な栄養素です。そのため、不足すると成長障害や味覚障害などになる可能性があります。一方で、サプリメントなどによる亜鉛の過剰摂取も、下痢や吐き気や免疫障害などの問題が起こります。

また、アルコールを多飲すると亜鉛の排出量が増えることが分かっているので注意が必要です。亜鉛は、あさりをはじめとする貝類全般に含まれているので、積極的に食べたい食品ですね。

高血圧を予防する「カリウム」

カリウムは摂りすぎたナトリウム(塩分)を体外へ出す働きがあるので、高血圧予防に役立つ栄養素です。また、細胞の内側と外側の水分バランスや、筋肉や心臓を動かす機能など、重要な働きも担っています。

カリウムは、さまざまな食品に含まれている成分なので不足することはほとんどありません。しかし、激しいおう吐や下痢のときは不足することもあるので注意が必要です。また、カリウムは水に溶けやすい成分なので、炊き込みごはんや汁物の具として使うと栄養素を無駄なく摂れてオススメですよ。

骨や歯を強くする「カルシウム」

あさりにはカルシウムも豊富に含まれています。

カルシウムは骨や歯の成分になるだけでなく、神経や筋肉、血液にとってもなくてはならない栄養素です。

さて、2019年の国民健康・栄養調査によると、カルシウムは全年代で推奨量には届いていません。カルシウムが不足すると骨が歯がもろくなり、成長不良や骨粗しょう症の原因となるので意識して摂りたい栄養素です。

一方でサプリメントなどでカルシウムを摂りすぎると、ミネラルの吸収障害や便秘などが起こります。

カルシウムにはビタミンDと一緒に摂ると吸収率がアップする、という特長があります。効率的に摂取するためにも、ビタミンDが豊富なきのこ類などと一緒に食べると良いですよ。

血液を作る「ビタミンB12」

ビタミンB12はさまざまな働きを持つ栄養素ですが、その1つに、骨髄(※)で葉酸と一緒に血液を作る重要な役割があります。
(※)骨髄とは骨の中心にある、赤血球や白血球をつくる場所

そのためビタミンB12が不足すると、血液が上手く作れずに貧血になったり、知覚に異常が出たりします。さて、ビタミンB12は、動物性食品に幅広く含まれているため通常は不足しにくい栄養素です。しかし、植物性食品にはほとんど含まれていないので、ビーガン(完全菜食主義者)の方は注意が必要と言えます。

参考までに、12歳以上の男女の1日あたりのビタミンB12の推奨量は2.4㎍です。あさりのむき身1つに含まれるビタミンB12は4.2㎍ですので、とても豊富なことが分かりますね。
ビタミンB群は水溶性ですが、ビタミンB12はやや水にとけにくい性質があります。

そのため、水煮缶のあさりにもビタミンB12は豊富に含まれているのです。ぜひ活用してみてくださいね。

関連記事:実はすごい!しいたけに詰まった栄養成分と効能効果を徹底解剖

コレステロールを下げるタウリン

タウリンはアミノ酸の一種で、貝類をはじめイカ・タコ・甲殻類などに含まれる成分です。

タウリンは食品だけでなく人の体の中にもあり、心臓や脳など幅広く臓器に含まれています。

さて、タウリンは血液中の中性脂肪やコレステロールを下げる作用が有名ですが、血圧低下作用、インスリンの分泌促進、視力回復などさまざまな働きも。

ところで、タウリンは疲労回復や滋養強壮の成分として栄養ドリンクなどに使われています。栄養ドリンクは糖質やカフェイン量が多い傾向があるので、できることなら普段の食事からタウリンを摂取するようにしましょう。

【似ている?】しじみの栄養価との違い

あさりとしじみの栄養価の違い

あさりとおなじく、味噌汁などの具材に使われるしじみですが、形は似ていても栄養素が異なります。

※殻付き、生、可食部100gあたりの数値を抜粋
※糖質は利用可能炭水化物の値を使用

上の表に示した通り、カリウム以外はしじみのほうが高い数値となっています。

そのため、どちらを食べたら良いのだろうと悩む方がいるかと思います。

両方とも甲乙つけがたいため、

・ダイエットや高血圧予防のためには、カロリーが低くカリウムの多いあさり
・貧血予防やカルシウム摂取のためにはしじみ

 

このように、目的に応じて食べ分けるのがオススメです。

あさりは缶詰にすると〇〇が増える!

あさりのむき身や水煮缶の栄養価に違いはあるの?

あさりを手軽に食べる方法として重宝する缶詰ですが、じつは缶詰にするとある栄養素が飛躍的に高くなるのです。

※可食部100gあたりの数値を抜粋
※糖質は利用可能炭水化物の値を使用

表からもおわかりいただけるように、缶詰にすると鉄分の量が大幅にアップします。鉄分補給にはもってこいですね。

一方、あさりの缶詰は加工過程で水分が抜けるため、水に溶けやすいカリウムの量が大幅に減ります。

また、あさりの缶詰には食塩が添加されているので、高血圧予防の観点からは食べ過ぎに注意しましょう。

冷凍すると栄養素はどうなるか

あさりは冷凍保存できる食品です。冷蔵の場合は2日程度しか持ちませんが、冷凍することで3週間ほど保存できると言われています。

さらに、冷凍すると細胞が壊れるため、うま味成分が外に出やすくなるというのも嬉しいポイント。料理の際は凍った状態のまま鍋など入れればOKなので、すぐに使えて便利ですよ。

あさりを沢山手に入れたときなどは、ぜひお試しくださいね。

何個まで食べて良い?食べ過ぎると体に悪いの?

何個まで食べて良い?食べ過ぎると体に悪いの?
あさりに関わらず、1つの食品だけをたくさん食べるのは体によくありません。

あさりには魅力的な栄養素が豊富に含まれていますが、実は塩分も高いのです。あさり1食分使用量、殻付き70g(正味28g、むき身7個程度)には0.6gの食塩が含まれています。味噌汁や炊き込みごはんなどにする場合は、さらに調味料の塩分も増えます。

参考までに、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、1日あたりの食塩摂取目標量は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。以上のことから、高血圧予防のためには殻付き50g(7個程度)が良いでしょう。

あさりは美味しいのでたくさん食べたくなります。しかし塩分の摂りすぎは高血圧の原因となりますので、食べすぎには注意するべきです。

あさりは妊娠中の女性や子どもが食べても大丈夫か

もちろん、妊娠中の女性や子どもが食べても大丈夫です。繰り返しになりますが、あさりは鉄分が豊富な食品です。そのため、特に鉄分が必要な妊婦さんや、成長期の子どもにオススメと言えます。

あさりと食べ合わせが悪い食品って何?

あさりと食べ合わせが悪い食品って何?
あさりはどのような食品と一緒に食べても、体の調子が悪くなることはありません。しかし鉄分のことを考えると、食事前後の飲み物の種類は気に掛けたほうが良いでしょう。
その理由は、緑茶やコーヒーなどに含まれるタンニンが鉄分の吸収を悪くするからです。

そのため、食事中の飲み物は、タンニンが含まれていないお水や麦茶などがオススメですよ。

あさりは食中毒の原因となるのか

あさりは食中毒の原因となる可能性があります。食中毒の原因となる毒を一般的に貝毒と言います。

貝毒は有毒プランクトンを食べたあさりの体内に毒が蓄積し、そのあさりを人が食べることによって引き起こされる食中毒のことです。

残念ながら、貝毒は加熱しても無毒化しません。

しかし、市販されているあさりは出荷前に厳格な検査を受けているため、食中毒の危険はないと言われています。

一方で、潮干狩りなどで獲ったあさりは出荷規制の対象外なので注意が必要です。貝毒が発生している地域の情報は公表されるので、潮干狩りへ行く前は必ず確認しましょう。

炊飯器で作れる!あさりを使ったお手軽レシピ



【あさりの炊き込みごはん】

【材料】~2人前~
・米                    1合
・あさり水煮      1缶
・しょうが          1かけ
・しょうゆ          大さじ1/2
・酒                  大さじ 1/2
・水煮缶の汁    1缶分
・水                     適量
・小ねぎ              適量

 
【作り方】
①米は洗ってザルに上げ、あさりは身と汁に分け、しょうがは千切りにする
②炊飯器に米、調味料、水煮缶の汁を入れて、1.5合の目盛りまで水を入れる
③炊きあがったらあさりの身を入れて軽く混ぜて蒸らす
④お好みで小ねぎを散らして出来上がり

まとめ

あさりには貧血を予防するビタミンB12や鉄分、骨や歯を強くするカルシウムが豊富ということが分かりましたね。

しかしあさりには塩分が多いので、高血圧予防の観点から、殻付き50g(7個程度)が良いでしょう。

今回の記事により、日々の食生活にあさりをうまく取り入れていただけると嬉しいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。

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参考文献

厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版) e-ヘルスネット 自然毒のリスクプロファイル:二枚貝:麻痺性貝毒
農林水産省 タウリンとはどのような栄養素ですか。また、体によいとのことですが、働きを教えてください。

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